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ウルトラマン第18話 / 「遊星から来た兄弟」を見ました。 #ウルトラサブスク

100文字短評

有名な偽ウルトラマンの回。謀略を巡らす宇宙人という新要素。え、ザラブ星人の中の人って、青野武氏、大佐なの?これは驚いた。ハヤタ隊員を縛っていたベルトがホシノ隊員の涙で切れるという展開はうーん…。

突如、夜の東京に発生した放射能霧。その中から現れた、地球人類との兄弟を自認するザラブ星人。やたらに友好的な態度を示すザラブ星人の真の目的は、地球侵略であった。正体を突き止めたハヤタは、逆にザラブ星人に捕らえられる。その直後、ウルトラマンが出現し、街を破壊し始めた!
監督:野長瀬三摩地
出演:黒部進
出演:桜井浩子
出演:小林昭二
出演:石井伊吉
出演:二瓶正也
特殊技術:高野宏一
脚本:南川 竜
脚本:金城哲夫
(C)円谷プロ

ウルトラマン第18話 / 「遊星から来た兄弟」 TSUBURAYA IMAGINATION より)

感想

私はウルトラマンには詳しくないので、ウルトラマンって毎週のように怪獣が大暴れしたり、日本語を流暢に話す侵略宇宙人がやってきたりする番組だと思っていたのですが、侵略宇宙人、中々出ないものなのですね。
ウルトラマン第18話 / 「遊星から来た兄弟」は、バルタン星人以来となる侵略宇宙人のお話です。
その名もザラブ星人

東京を襲う放射能霧

ある日、謎の霧が東京一帯を覆うのですが、この霧はなんと400レントゲン(注:レントゲン(R)とは昔使われていた放射線の単位の一つ。照射線量。)という致死量の放射能を持つ恐ろしい霧らしく、東京の人々は霧の影響で次々に倒れてしまいます。
子供向け番組としては少々恐ろしいと思える導入です。

2023年現在でも、ロシア・ウクライナ戦争における原発破壊リスクやロシア軍による核使用の可能性、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国による7回目の核実験強行の可能性、日本国における福島第一原発事故の「処理水」(あるいはトリチウム他の多核種からなる複合汚染水)放出問題など、戦乱や核実験、あるいは事故による放射能汚染の懸念がなお存在する訳でもありますが、初代ウルトラマンの放映年である1966年前後は、部分的核実験停止条約(PTBT)に参加しなかった、中国(1964年10月に初の原爆実験、67年に初の水爆実験)やフランス(1968年8月に初の水爆実験)など、大国の"地上"核実験が相次いだ時代です。

"放射能の霧が東京を襲う"という描写は、当時かなりのリアルティ、切実な恐怖があったのではないかなぁと思います。

何故かスパイダーマンごっこをするザラブ星人

放射能霧に覆われた東京の街に科特隊のアラシ隊員とイデ隊員が向かうのですが、濃霧の中、怪しげな人影を見つけ、声をかけます。
しかしそれは人間ではなく、怪人、宇宙人、そうザラブ星人なのでした。
このザラブ星人の初登場シーンは子供の頃に見たら結構なトラウマなんじゃないかなあ?興味ある方はぜひともツブイマでご確認ください。

ここのシーン、宇宙人と見れば即座にスパイダーショットをぶちかますアラシ隊員も大概酷いんですけど、"霧"の中にわざわざいるザラブ星人もちょっと何をしたいのか分かりませんし、唐突にスパイダーマンごっこするのも、ますます何がしたいのかよく分かりません。(……まぁ怪しい存在だと視聴者に分からせることには大成功でしょうが)

怪しい存在ザラブ星人は、科特隊のアラシ隊員とイデ隊員と遭遇すると、科特隊基地の通信に割り込んできます。

バルタン星人と同様、ウルトラマン世界の宇宙人は、(まだこの頃は?)すぐに日本語をぺらぺらと話せる訳ではないらしく、電子頭脳を経由しなければ宇宙人は地球人とコミュニケーションを取れないご様子。
言語・翻訳の設定に中々のこだわりを感じます。

この通信で、電子頭脳を経由しているにしても、やたらナチュラルな日本語を話す、やけにフレンドリーな、怪しさ満点ザラブ星人クンは、「よ、俺、ザラブ星人!俺たちザラブ星と地球は兄弟みたいなもんさ!兄弟同士仲良くしようぜ!ハハハハ!」というようなことを言ってくるのですが、何百人、何千人もの人間が、放射能霧で倒れているだろう横でそんなこと言われても、ただただ不審なだけです。

ホシノ隊員はすぐに「こいつが霧を降らしたんだ!」と見破るんですが、その推理はごもっともです。
この宇宙人、怪しすぎる……。

「やっほー!」ザルすぎる警備体制の科特隊
放射能霧を消すザラブ星人

「やっほー!」とでも言わんばかりの気軽さでもって、科特隊極東支部基地に史上初の無断侵入を果たしたザラブ星人は、ムラマツキャップとの交渉で、友好の証として、この放射能霧を消してやろうと約束し、見事、霧を東京から消し飛ばしてくれるのですが……。

まぁ自作自演な訳です。
いきなり原因不明の怪しい霧が現れて、その現場に高度なテクノロジーを有するという見知らぬ宇宙人がいて、「兄弟だ、友好だ、仲良くしよう!」とやたら語ってから霧を消してみせる……。

子供でも分かるようなマッチポンプな展開(noteの記事推敲中に知ったけど、マッチポンプって和製英語なのか)ですが、まぁそもそも子供向け番組なので、子供でも見破れるように、分かりやすく作っていて当たり前な訳です。

話は少し脱線するのですが、このザラブ星人の声と中の人って青野武氏じゃないですか。
私はメタルギアソリッドシリーズが大好きでして、大佐の声をここで聞けるとは…。
いやぁお若い。
けど声優さんがスーツアクターもやっていたとは…。すごいねぇ。


妖しい魅力のフジ隊員

放射能の霧を消すことで、まんまと地球人との偽りの「友好」を得たザラブ星人はその後、フジ隊員に変身・擬態するのですが、普段の優しいフジ隊員なら絶対に見せないだろう、この悪い表情、妖しい目線。

偽ウルトラマンについてはバレバレだという声がネット上には結構ありますけど、割とフジ隊員への変身もバレバレなような…?

……ん?ガマクジラのお話の時のフジ隊員?
さてなんの話です?

涙で溶けるという謎の素材のザラブ製ベルト

番組の後半、ハヤタ隊員がザラブ星人に拘束されるのですが、ハヤタ隊員を縛っていたベルトがホシノ隊員の涙で切れるという展開はちょっと雑というか、唐突というか、ご都合主義的な展開な気もします。

だけど、何かしらこの"涙"に意味を持たせている気もするんですよね。

そもそも、ここのシーンはすごく都合よくホシノ隊員がロープで降りてくるんですから、そのままの勢いで、ペンチでベルトをすぐに切ってハヤタ隊員を即救出という展開でも別にいい訳で。
ありがちですけど、偽りの兄弟愛のザラブ星は、真の兄弟愛の地球人の涙の前には無力だった、みたいな?


どっちが本物のウルトラマンなのか…

物語の締めは、あの有名な、本物のウルトラマンと偽ウルトラマンの戦いです。
よく、偽ウルトラマンは一目で偽物だとバレそうなのに劇中の人間が気付かないのがおかしいとか言いますけれど、だってねぇ、子供向け番組ですし、これは子供が混乱しないようにって配慮って奴でしょう(野暮な指摘とは分かりつつ。)

個人的にフジ隊員の睡眠薬入りコーヒーのシーンも、最初から最後まで、やり過ぎなくらい「笑顔」で睡眠薬入りコーヒーを飲むアラシ隊員を見ているって演出でもいいと思うんですけど、それじゃあ子供がとんでもなくびっくりするだろうから、怪しげな表情で演技したんだと思いますし。

総評

ウルトラマン第18話 / 「遊星から来た兄弟」、有名な偽ウルトラマンの回でした。
謀略を巡らす侵略宇宙人というのは新要素で、ウルトラマンという物語の幅が広がったように思います。
これまでの怪獣は本能で暴れ回ったり、食事をしたり、人間のせいで凶暴化したり、あるいは種族を全滅させられた故の報復というような、怪獣さん可哀想と思えるものが多かったのですが、他の星を滅ぼすことが)私の仕事」と言い切る敵役の登場というのは、物語に新たな刺激を加えることでしょう。
個人的にザラブ星人の中の人が故・青野武氏だというのには驚きました。
涙でベルトが切れる演出はちょっと情報不足だったと思います。

本日のお気に入りの台詞

「兄弟がそんな酷いことをすると思うかね?」

※兄弟仲が悪かった私はこのセリフで、
あ、この星人悪い人だと悟りました。

★布教

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