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ボールを怖がる子どもの捕球技術を上達させる3つの戦略とは?

ボールを怖がるな、逃げるな

って言われたことや、言ったことない?キャッチボールとかノックでボールをうける際、ボールを怖がって顔をそむけることあるよね。そんな時、「ボールが怖くて野球なんかできるか!顔に当ててでもくらいつけ」みたいな風潮あるよね?

学年があがっていくほど打球は速くなっていくし、軟球で怖がっていたら硬球で野球はできないとか考えちゃって、怖さに勝たなくちゃいけない、怖さを克服しなくちゃいけない、そんな強迫観念でもって、子どもを強いボールで追い込んでいく。でもね…

ボールが怖い気持ちは克服なんかできないヨ

というか、克服したらヤバいことになる。ボールを怖がらず、痛みを恐れない?そんなアグレッシブなやつヤバくない?ボールをガンガン体で止めちゃうよ?顔で受けちゃうよ?もうねグラブを使わなくなるよ?

怖いという気持ちは自然にあふれてくるよね。怖いもんは怖い。だから止められないし、克服なんてムリがある。たとえば、「スキになってください」と言われてスキになれる?「ムリ」って断ったら、次は高圧的な態度で「スキになれよ」と脅される感じ?逃げたくなるよね。だから心の底から湧きだしてくる「怖い」という気持ちはどうしようもないわけ。

大事なところだからもう少し。もしソフトバンクホークスの千賀投手が至近距離からあなたにめがけて全力投球してきたらどう?筒香選手の打球を至近距離でキャッチしろと言われたら?どう?怖いよね?目をそむけたくなるよね?逃げたくなるよね?うん、それといっしょ。子どもも同じ気持ちなの。

怖いの基準を引き上げる

え?たしかに大人でも怖いと思うことはあるけどボールのスピードが違うって?うん、そうなんだ。そこがこのテーマの鍵になるんだ。怖い、という気持ちを克服するのはできないんだけど、怖いと感じる基準を引き上げることはできる。

お察しのとおり、子どもが怖いと感じるボールとあなたが怖いと感じるボールは違うよね。スピードとかコースとか。

怖いと感じるのは自分の手には負えないボールが自分に向かってきた時に怖いと感じるんだ。

つまり、怖いと感じるのはヒトの防衛本能が正常に機能している、ということ。だから技術を体得すれば、怖いと感じるボールを少なくできるってことなんだ。そこで…

ボールを怖がる子どもに捕球技術を上達させる3つの戦略

戦略1:ボールから逃げる子どもを褒める
戦略2:手の使い方を覚える
戦略3:ボールとの距離感をつかむ

戦略1:ボールから逃げる子どもを褒める

もし子どもがボールから逃げたら、「逃げるな」ではなく「よく逃げた」と褒めてやらなくちゃいけない。で、その後に「もっと逃げろ」と伝えて欲しい。

さっきも書いたけど、逃げるのはヒトが持ってる防衛機能を正常にはたらかせたということ。誰だって自分の手には負えないスピードのボールが自分に向かってきたら怖い。それはプロ野球選手も同じ。子どもだけじゃない。ボールから逃げないほうが危ない。子どもは逃げた。正常に機能をはたらかせた。だから褒める以外に選択肢はない。

で、その後に「もっと逃げろ」と伝えなくちゃいけない。なぜか?「逃げる」には何をしなくちゃいけない?ボールを見ないと逃げられないよね?だからボールを見ることに意識が向くわけ。

でも「逃げるな!」と言われたらどう?怖い、コワイ、こわい…って気持ちが買っちゃうよね。そうすると逃げることに意識が向くよね。だからボールを見なくなるわけ。ボールを見ずにボールは捕れる?

戦略2:手の使い方を覚える

繰り返しになるけど、ボールを怖いと感じる理由は、自分の手に負えないスピードのボールが自分に向かってくるからだ。だったら手に負えるようにすればいい。小学生のときに怖いと思っていたボールなのに、高校生になると余裕に感じるのは、怖さを克服したからではなくて、ボールを捕る技術を体得したからなんだ。

で、特にボールを怖がる子どものほとんどがグラブ操作が半熟。グラブを操作する手の使い方が半人前なんだ。だから一度グラブを外す。そして手の使い方からやり直してみる。

手の使い方を学びなおすにはスポンジボールがいい。グラブの使い方が半熟の選手は、素手でスポンジボールを上手くつかめないはずだ。指を効率的に使えていないからね。

具体的にいうと、本来、5本の指を使ってボールをつかむんだけど、親指、薬指、小指のどれかを使えていない選手が多いんだ。で、それを改善する際に、軟球みたいに重いボールは重みで手のひらにスポッと勝手に入っちゃう。

でもスポンジの軽いボールはそうはいかない。しっかり5本の指を開いて閉じないと、ボールをはじいて落球してしまう。グラブ操作するための手の使い方を覚えるにはスポンジボールが向いている。


戦略3:ボールとの距離感をつかむ

ボールが怖いと感じる理由はもうひとつ。どれくらいの距離がボールと自分にあるのか、わからないこと。距離感をつかめていないわけ。

よく「ボールの真正面に入れ」とか言うけど、真正面向だと距離感をつかみにくくない?真正面のサードゴロってトンネル多いでしょ?あれ、ボールとの距離感をつかめなくて打球が速いから腰が落ちきらないの。

ボールと目を結んだ線と、ボールが進む線が、重なるとボールとの距離感をつかめなくなる。だから、ボールとの距離感を取りにくい場合は、ボールの真正面に入るよりも、真正面から少しずらした位置でボールを捕るほうがいい。

少しずらした位置というのは、具体的には、高さはボールによって違うけれど、右投げの場合は左足の前の位置、左投の場合は右足の前の位置でボールを捕るようにすると、真正面からズラすことができる。真正面に入らなくてもいいという安心感と、距離感のとりやすさで、ボールは捕球しやすくなるはず。

まとめるとね

ボールを怖がる子どもを上達させるための戦略をつらつらと書いたんだけど、ボールを怖がることは正しい反応なんだ。怖がらなければ体で止めちゃえばいいんだから捕球技術は向上しないよね。だから今日から「ボールから逃げるな」ではなく「よく逃げた」と褒めてあげて欲しい。まずはそれが上達の第一歩。

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