この先も ずっと引きずる 自信あり それはグズグズ グズグズの汗


「ねね、マサト君ひま?のも。」

緊急事態である。

ジュンイチからのラインだ。

好きだったヤツからLINEが来たのだ。

大好きだった。
2回告白して2回ともフられた。
2回とも1人で大酒呑みながら泣いた。
それが10ヶ月前。

その後ちょっとした集まりで遠目で挨拶だけした。

2ヶ月前。

、、、、、


また会いたいなーと思った。

昨日。。。


いや、、毎日思ってたんだよ。

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今日は休日。

カルディで山ほど酒のつまみを買って、ちょっといいワインを買ってゆっくり夜を過ごそうとしていた。

ジュンイチと出会って約2年。

今まで向こうから誘われた事は一度もない。

こっちからは何度も呑みに誘った。
勝手に好きだった。
勝手に楽しかった。
勝手に告白してフられた。

今思うと
みっともないったりゃありゃしねぇ。

そんなゴタゴタした気持ちを悟られない様に返信するのがこんなに複雑とは。、

「おう、ジュンイチどれ位で着く?」
「ボクはねー、今新宿出るから20分」
「おけ。オレ15分位。」

ここで未読無視される。
これはオレとジュンイチの中では、決定したという事。

出来れば可愛いスタンプとか送って欲しい。
でもジュンイチはそんな事しない。
、、、、 
オレが欲しいものは与えてくれない。
、、、、

広げたばかりのワインとつまみを急いで片付けて、少しだけベッドを整える。
彼がここにくる事はないのに。


手に入らない彼に会える時間。
それが目の前まで来てる。

表すならそれは、

ドキドキではなく、チクチクだ。

しかしチクチクは見せないように頑張ろうと思う。

おれは男だから。
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店までは歩いて10分。

8月に入りたての夜は蒸し暑い。

グズグズと吹き出る汗。 

Tシャツの裾で拭いながら店に向かう。

1番の問題はまだジュンイチが好きな事。
ジュンイチの事を忘れられた訳ではない。
しかも誘われても断らない。

ウキウキした様に見せたくないので、「ギリギリダサくない、部屋着っぽさのある外着。」で出かけた。

絶対何もないのに気にしてしまう辺りが未練がましく、絶妙にダサい。

オレくそダサい。

どうなる訳でもないのに期待とチクチクだけが増えていく。

グズグズ出る汗と共に、絶妙にダサいオトコ爆誕。。

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店は7席ほどのカウンターだけの店。
ジュンイチが先に着いたようだ。

「よ。ジュンイチ元気?」

「マサト君久しぶりだね。もう1年くらい??」

・・・こいつ2ヶ月前にあったの忘れてるやん。・・・

より一層、期待が無くなりチクチクが増えていく。。

ここからはオレの妄想です。

お楽しみ下さい。

どうぞ。

以下
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[よ。ジュンイチ元気?]

[マサト君久しぶり!来てくれて良かった。]

[珍しい事言うじゃん。ジュンイチから誘われたの初めてだわ。]

[本当はもっと早くマサト君誘いたかったんだけどね。なんか誘うの悪いかなと思って。]

[あー、前の事?オレは気にしてないよ(笑)]

[んー、でも僕はずっと気になってたって言うか、、、会いたかったんだよね。]

[まじで(笑)なにそれ、今日オレ奢らされるん??(笑)]

[そーゆーのじゃなくて!ボク本気なんだから!]

[え、、、それは、、、?]
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みたいな展開をどこかで期待していたのに。
実際は、、

「いやいや、2ヶ月前に会ったべ(笑)」

「そうだっけ?全然覚えてない!後からタケちゃんとリクも来るよー!とりあえずテキーラのも!!」

・・・ん、オレだけでは・・・ないの?か・・

テキーラショットグラスの乾杯の音がした。
小さいカチンって音。。

オレの敗戦が決まった。

告白したわけじゃないのに3回フられて負けた気分だ。

多分この後は酔っ払って周りの奴らとチューすんだろ。

オレはそれをただ見てるだけなんだろう。

ベロベロに酔っぱらったジュンイチがタクシーに乗るのを見届けるだけなんだろう。

そして大きくため息なんかつきながらトボトボ帰るんだろう。

グズグズ吹き出るのは。

好きな気持ちと。

グズグズの汗なんだ。

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