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#小説
転生したら「女神様」のパシりだった件 その六
ショボいカラオケイベントも先が見えてきた、物販をやらなきゃ、いや、やらさなきゃ、と姫草は佐伯に何度も言っているらしい。
物販。
家事やら育児やらで開いた「スキマ時間」にアクセサリーなんかを作って売って、ウハウハ大儲け。
これはスピリチュアルにハマってなくても、現金収入が欲しい中年以上の女性の夢だ。
佐伯は姫草の「ビジネス」を止めさせたいのと、私はこき使われた私怨を晴らしたいという、利害を無
転生したら「女神さま」のパシりだった件 その五
5.宗教で儲ける方法
佐伯の事はみんな、表立っては語らないが、実は姫草の愛人の一人ではないかと噂されている。当の姫草は、四回離婚していて女の子を二人産んでいるが、今はフリーだ。
今までの夫達は、ダサ・まさしみたいな、「勤め人にならないで、歌やセラピーや、とにかく、そんなんで何とか食べていきたい」
というような男ばかりだ。
産んだ女の子二人は、元・夫の親達が育てているらしい。
取り巻きと話
転生したら「女神さま」のパシりだった件 その四
4.CPH4
姫草を、パシり組の私達は、先生と呼んでいた。
で、女神さまは講演会の時には権威ある教授のように、存在感全開、オーラやパワーの濃度純度アップ、それはそれは「素晴らしい事を言ってくれそう」に振る舞っている。
色白で四十路前にしては整った顔と体つき。ウエストマークのクラシックなデザインのワンピースを着て、頭にはワンピースと同系色のパウダーブルーの小さな丸い帽子を、ゆるふわな髪をした頭
転生したら「女神さま」のパシりだった件 その3
3.セルフ・コード
最初は、満月と財布だった。
満月の光りに財布をかざして振ると収入が増えるという話を、その頃買ったスピリチュアル雑誌で読んだ。
満月でなくても、イライラすると私は夜な夜な出掛けて、月光の下で財布を振っていたらしい。
我が事ながら、アホだ。
その頃、夫の月収がかなり減り、私は私で職場の対人関係ストレスから鬱傾向になっていた。心が弱っている時に、金欠は鈍い刃物のように効く。