マガジンのカバー画像

転生したら女神様のパシりだった件。

6
スピリチュアル系の教祖と、洗脳から目覚めた主人公の戦い。 スピ系がどうやって稼いでいるか、マルチの立ち上げ方と発展の方法など、余計な知識も満載です。
運営しているクリエイター

記事一覧

転生したら「女神様」のパシりだった件 その八

転生したら「女神様」のパシりだった件 その八

次のステージ(?)イベントで、新規事業の立ち上げを発表する、と姫草は息巻いていた。

ついに、MLM開始だ。

「まずは史生さんにも子会員になってもらわなくちゃ!」

と早速、勧誘されている。

会社組織ではなく、ここでも個人事業主扱いになる。

そうした概要の書類を見ながら、私は答えた。

「先生、『卸し』などの言葉は変えた方がいいです」

「はうっ?」

「『商品を介在している物は、無限連鎖講

もっとみる
転生したら「女神様」のパシりだった件 その七

転生したら「女神様」のパシりだった件 その七

「おかいこ様」を崇める椿寺は、明治以前からある、神社と寺の習合の、典型的な寺だ。

明治になって政府は、寺と神社を徹底的に引き離そうとしたが、地方に行くと、まだその形態を残した寺や神社が残っている。寺なのに神楽を奉納するのも、習合の形の残りだ。

本殿には引き潮の時しか行けない。

そこで七年に一度、島の豊穣を祈って、様々な捧げ物をする。

姫草は、かなりの額をお布施したと自慢していた。

しかし

もっとみる
転生したら「女神様」のパシりだった件 その六

転生したら「女神様」のパシりだった件 その六

ショボいカラオケイベントも先が見えてきた、物販をやらなきゃ、いや、やらさなきゃ、と姫草は佐伯に何度も言っているらしい。

物販。

家事やら育児やらで開いた「スキマ時間」にアクセサリーなんかを作って売って、ウハウハ大儲け。

これはスピリチュアルにハマってなくても、現金収入が欲しい中年以上の女性の夢だ。

佐伯は姫草の「ビジネス」を止めさせたいのと、私はこき使われた私怨を晴らしたいという、利害を無

もっとみる
転生したら「女神さま」のパシりだった件 その五

転生したら「女神さま」のパシりだった件 その五

5.宗教で儲ける方法

佐伯の事はみんな、表立っては語らないが、実は姫草の愛人の一人ではないかと噂されている。当の姫草は、四回離婚していて女の子を二人産んでいるが、今はフリーだ。

今までの夫達は、ダサ・まさしみたいな、「勤め人にならないで、歌やセラピーや、とにかく、そんなんで何とか食べていきたい」

というような男ばかりだ。

産んだ女の子二人は、元・夫の親達が育てているらしい。

取り巻きと話

もっとみる
転生したら「女神さま」のパシりだった件 その四

転生したら「女神さま」のパシりだった件 その四

4.CPH4

姫草を、パシり組の私達は、先生と呼んでいた。

で、女神さまは講演会の時には権威ある教授のように、存在感全開、オーラやパワーの濃度純度アップ、それはそれは「素晴らしい事を言ってくれそう」に振る舞っている。

色白で四十路前にしては整った顔と体つき。ウエストマークのクラシックなデザインのワンピースを着て、頭にはワンピースと同系色のパウダーブルーの小さな丸い帽子を、ゆるふわな髪をした頭

もっとみる
転生したら「女神さま」のパシりだった件 その3

転生したら「女神さま」のパシりだった件 その3

3.セルフ・コード

最初は、満月と財布だった。

満月の光りに財布をかざして振ると収入が増えるという話を、その頃買ったスピリチュアル雑誌で読んだ。

満月でなくても、イライラすると私は夜な夜な出掛けて、月光の下で財布を振っていたらしい。

我が事ながら、アホだ。

その頃、夫の月収がかなり減り、私は私で職場の対人関係ストレスから鬱傾向になっていた。心が弱っている時に、金欠は鈍い刃物のように効く。

もっとみる