モノローグ台本『観光地』
はじめに
男女どちらでも使用できますが、一人称と語尾は男性用となっています。
女性の場合は一人称を「私」にし、語尾を女性のものに変更してご使用ください。
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本文
近未来。宇宙人との交流が盛んになり、多くの宇宙人が地球に観光へと訪れていた。
舞台はスカイツリーの膝元にあるお土産屋さん。
店主(地球人)の元に観光客(宇宙人)がやってくる。
店主「あ、お姉さん。どうこれ、可愛いお姉さんに超似合うと思うよー?ほんと可愛いから!絶対可愛いから!(客、立ち去って)可愛くねー」
カップルがやってくる。カップルの男側は(地球でいうところの)スマホのカメラを店主に向けている。
店主「いらっしゃい!ムービー?」
店主、サービスで手を振ってあげる。
店主「あ、お姉さん!それ、スカイツリーの置物ね、良いでしょ?あ、ほとんど同じヤツがもう一色あるから、そしたらカップルで買うのにぴったりだと思う。ちょっと待ってて!」
店主、従業員に向かって声をかける。
店主「東京タワーもってきてー!値段ね、1つたった1万円!(客立ち去ろうとする)あー、待って待って待って待って!じゃあ、8000円にしよう」
客、立ち去ろうとする。
店主「ストップストップ!ハウマッチ、ハウマッチ!?いくらなら良いの?1000円?いやいやいやいや!1000円はないでしょ。さすがにそれは立ち行かなくなっちゃうよ」
客、立ち去ろうとする。
店主「じゃあ5000円で。5000円がラストプライス。これ以上は絶対、(客立ち去ろうとする)わかった、3000円」
カップル女、(地球で言うところの)メルカリの画面を店主に見せる。
店主「なに?ノー!ノー!このサイトのやつは、量産品だから。そりゃ安いよ。でもこれは、一つ一つ丁寧に作っているからね。この距離でスカイツリーを見上げて、確かな迫力を感じて制作しているものだから。滲み出るリアリティが違うから!(男の方に)てか、あんた。ずっと撮っているね」
カップル女、『1000円にしてくれ』と言う。
店主「だからお姉さん。1000円は無理だって。え?だいたい10倍の値段でふっかけてくるって聞いた?そういう店も確かにあるけど、ウチはもう全然違うから。…ってさっきも店でも言われた?…っていう店とも全く異なるから。あのね。ウチは代々」
カップル、立ち去ろうとする。
店主「ああ、わかったよ!おっけー!1000円でオッケー!もってけドロボー!『出た』ってなに?なになにすごい喜んでいるけど…。とにかく、1000円でお買い上げね」
カップル男、ムービーを終了させる。
カップル、立ち去ろうとする。
店主「ちょっとちょっと!買わないの?『もう大丈夫』?ダメだって、ここまで安くしたんだから!それはおかしいでしょ!」
カップルの女性、月の石を店主に渡す。
店主「え、なになにこれ?」
カップル、去っていく。
店主「あ、ちょっとー!」
従業員、東京タワーの置物を持ってやってくる。
店主「え?いや、遅えよ」
従業員、謝る。
店主、月の石を従業員に渡そうとする。(従業員は受け取らない)
店主「そうだよ、月の石。ったく、地球人はこれ渡しときゃ喜ぶと思ってんだろうな」
※このタイミングで観客は、今までのお客達が宇宙人で、地球は「発展途上惑星」の立場にいることが分かる
店主、再び月の石を従業員に渡そうとする。
店主「ほれ」
従業員、いらないと言う。
店主「いや、俺もいらねえよ!…ウチに腐る程あんだから」
(完)
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