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【タイ】サンクラブリー再訪記(8)

山に住む人々は、下草を刈る代わりに山を焼きます。

平地では収穫後のサトウキビ畑などを焼くと、煙が酷くて大気汚染レベルにまで達しますが、

山だと住んでいる人が殆どいないため、他人の迷惑になることは少ないようです。ただ、この日は風が強く、風に煽られた炎が勢いよく広がり、風向き次第では避難を余儀なくされるところでした。

時折、燃える竹の爆発音とともに煙りがあたりを覆い、火や煙がこっちに来ないか警戒心が高まります。

笹の葉は火が付くと一気に燃え上がりますが、直ぐに下火になってくれます。一方で木の幹は一度火が付くと炎の無い熾火になってしまい、なかなか消えてくれません。風が無ければ延焼の問題ないのですが、この日は夜になってもあちこち燃え続けていました。

翌朝、自然に鎮火した後の斜面はこんな感じ。大きな木は残りますが、小さな木は立ち枯れます。

調べると焼畑には人間にとってメリットがあり、下草を刈る必要が無くなり、土地が灰で中和され肥料となる他、マラリアを媒介する蚊などを含めた害虫の駆除になります。

しかし反面、想定以上の煙害や森林喪失、地中に根を張っていた樹々や竹が枯れ、土砂崩れを誘発する可能性があります。保水力も低下するでしょう。

世界で大きな戦争が起きても山の恵みがある限り生き残ることが出来る山の人々ですが、豊かな自然の恵みを享受し続けるには、増え過ぎたら自ら山を降りて行かざるを得ないのかも知れません。

(9)につづく