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法人設立のメリット

このnoteでは、現役ITエンジニアの経営者として、法人設立の判断基準やステップをまとめています。

前回は「法人とは何か」というお話しました。
今回は「法人設立のメリット」についてお話します。

どうして法人を設立するのか?
これは大きく3つメリットがあるからです。


経費の範囲が広がる

1つ目は「経費として認められる範囲が広がる」になります。

以前、僕が会社員をしながら、土日を使って副業をしていたとき、
プライベートの生活費と、個人事業の活動費用がごちゃごちゃになり、
それが曖昧なせいで確定申告で苦労していました。
「自宅が職場」ということもあったかもしれません。

「税務調査」という恐ろしいイベントが何年後か、忘れたころにあって、過去に経費計上していたものが覆ってしまう、という話もよく聞きます。

きちんと関係者に説明できるものを経費にすることが「望ましい」のだと僕は思いますし、経営者としてもそうあるべきですよね。

しかし、当時の僕は、個人事業主っていうのは、プライベートとの切り分けが難しくて、経費が認められづらい傾向にあるように感じていました。

僕は法人成りしたあと、以下のような経費を計上しています。
すべて会社の業務に関連する実態があるものになります。

  • 個人契約マンションを自社に転貸(家賃の25%目安)

  • 社宅、家賃半額払う(水道光熱費含む)

  • 作業所、全額会社負担(水道光熱費含む)

  • スマホ代、インターネット代、固定電話代

  • 業務に使用したレンタカー及びETC代

  • 交際費、会議費:打ち合わせ兼ねた外食や、会議中の弁当代

  • 交通費:電車、バス、タクシー

  • 出張旅費(旅費規定を用意すると良い)

  • 業務用PC、オフィス備品、セミナー代、書籍代など

※上記は僕の話ですので、必ず専門家に相談してください。

・経費として認められる範囲が広がる

信用力とスケール余地

2つ目は「信用力」です。
あと「スケール余地」っていうのは、個人では到達できない規模の収入を実現できる可能性を秘めているということです。

例えば会社員と比べると、設立当初っていうのは、まったく実績が無いため生まれたての赤ん坊みたいな感じです。信用がありません。

ただ、実績を積み重ねて信用が出てくると、1億、10億という規模の取引ができたりします。

僕は会社員をしながら副業をしていたとき、
「このまま仕事をたくさん受け続けると、自分が倒れたら終わる」
という不安が常にありました。

一人だけでは限界だったこともあり、せっかく仕事を受けて実績ができたのだから、「法人化して規模拡大を狙おう」と、決断したのです。

法人は組織のため「病気や寿命」が無い

また、人間には病気や寿命で活動を続けられなくなるリスクがありますが、法人は組織であるため、そういったものが無く、創業100年以上の会社も存在します。

株式会社や合同会社のような法人は、事業継承することで、創業者がいなくなったとしても、永続的に続けていくことが可能なのです。

・設立当初は実績が無いため苦労する
・ただし軌道に乗ると個人よりも信用を得やすい
・個人では達成しにくい規模の取引や融資、成長の余地が生まれる
・創業100年以上も可能(個人は病気や寿命のリスクがある)

リスク分散

3つ目は「リスク分散」
・・・と書かせていただいたんですけれども、

なんのことかというと、
「個人の活動が、法人に影響しない」
「法人の活動も、個人に影響しない」
ということです。

つまり、法人の活動っていうのは、個人とは全く別の人格で行われるので、
法人の活動で起こった責任を、個人が取る必要が無い、という意味です。

なので、事業で何かリスクが顕在化した時に、
「法人の代表者の立場として、責任を取る」
というのはあるかもしれませんが、それが個人の生活レベルで、
法的な責任として影響が出る可能性が低くなります。

損害賠償などの責任が発生した場合は、基本的には法人が所有する資産の中で整理されるっていうことになりますので、プライベートと仕事の切り分けをしやすいと思います。

しかし、銀行もバカではない

例えば、銀行から1億円お金を借りますっていう時に、
銀行もバカではないので、全然実績のない会社に貸す場合は、
「代表者の連帯保証」を取ります。

そのため、法人の資産の中で返済できなければ、代表者個人の資産から返済しなければなりません。

昔は代表者の妻(配偶者)も連帯保証人に取ったりすることも多かったみたいですが、最近では金融庁から「そういうことはやめなさい」みたいな動きがあります。

経営者保証に関するガイドライン

さらに、最近では金融庁が「経営者保証に関するガイドライン」というものを金融機関に通達していて、
「配偶者だけでなく、代表者も連帯保証から外しましょう」
という、動きが活発になってきています。
もしかすると、自己破産やトラブルが多いのかもしれません。

「できたばかりの会社に、なんの保証もなくお金を貸したくない」

これが銀行の本音です。
ただ、それじゃあお金を貸すことができないので、
「金融庁からは代表者の連帯保証を取らないように言われてるけれど」
「これにサインしてくれたら、連帯保証取れるんです」
「サインしてくれたらお金を貸せますよ」
みたいな「お願い」をされることが、起業したばかりだと多いのが実情だと思います。

大企業になって「絶対お金が返ってくるだろう」みたいな状態になったときや、制度融資など保証協会の後ろ盾がある場合には、代表者の連帯保証人は不要になってくると思います。

そのため、起業で融資が必要な場合は、国が進める創業系の融資や、保証協会を利用した融資、日本政策金融公庫を利用した融資などを検討すると良いと思います。

現状では、民間の金融機関だけを頼った融資の実態としては、連帯保証人になったり、役員借入、役員貸付など、お金の貸し借りによって、プライベートと法人が結びついてしまうケースが多く、それが最悪、返済することができなくなった場合、
「自分ではどうすることもできず自己破産してしまう」
という可能性がゼロではありません。
なるべくお金の貸し借りは無いようにすることが望ましいです。

高額な融資を受ける際は、返済ができなくなった場合のことを考えることが重要です。

ただし、これは個人事業主でも同じことが言えます。
そう考えると、やはり法人事業とプライベートが明確に分かれているメリットがあると言えます。

・法人と個人の活動を分けることで、事業リスクが個人の生活に影響しにくくなる

・責任が法人の資産や収益に限定されるため、個人の財産を守ることができる

・しかし、融資の連帯保証など、お金の貸し借りで、個人の生活まで影響がでることもある

・国の制度を利用したり、返済計画をしっかり検討しよう

次回は「法人のデメリット」についてお話します。

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