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こどもの日とテイルレッド


noteの最初の話題は何にしようか考えていたのですが……
ちょうど「こどもの日」のツイートでテイルレッドの身長に触れたので、自分なりのキャラクターの設定について書きます。

■テイルレッド

「俺、ツインテールになります。」の主人公・観束総二が変身するツインテールの戦士、テイルレッドは、

身長:129cm
体重:26kg

となっています。
だいたい9歳ぐらいの見た目です。

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ちょっと幼いかもしれません。俺ツイは、ジャンルとしてはバトルもの。このキャラがメインとなって、激しい戦いを繰り広げていくのだから。
それに後々仲間が増えることを考えると、一人だけ極端に小さいと並んだ時にバランスが悪くなる可能性もあります。

当然この設定については、担当編集さんともよく話し合いをしました。
最後まで「もう少し大きくした方がいい」と言われました。
読む人が感情移入できる年齢に、といったアドバイスも受けたと思います。

デビュー作だし新人だし、私は基本的に、修正指示は素直に受け止め従っていました。
ですがこの設定は「絶対に変えません」と戦った数少ない点の一つでした。
そういう思い出があるので、登場キャラのプロフィールの中でも(愛香さんのBの次に)特に強く記憶に残っています。
ある日突然しれっとそらで暗唱できます。

テイルレッドの小ささは私が精一杯戦って守り、勝ち取った小ささ

なのです!

もちろん、自分で決めたキャラの設定は決して直さないとか、頑ななポリシーがあるわけではなくて、これについては譲れない理由があったからでした。
逆にあるタイミングで一部のヒロインの設定上の体重が減ったりしたのは、その修正提案にそこまで反対する理由が無かったからです。

■設定

では何故そこまでテイルレッドの小ささにこだわったかというと――
ツインテールが似合う、見た目の可愛さ、インパクト、強さとのギャップなど……色々あるのですが、理由として一番推したのが「エレメリアンとの対比」でした。

私はヒーローものを栄養にして生命活動をしていますが、
(ツインテールは栄養、糧というより自身の存在そのもの)
ヒーローのかっこよさはもちろん、敵キャラが魅力的な作品が大好きです。
敵キャラの魅力がヒーローを引き立てると思っています。

俺ツイの敵キャラ「エレメリアン」は、人間の心から生まれた怪人で、変態性と憎めなさを併せ持った連中。みな、(変質者でも)誇り高き戦士たちです。
侵略者でありながら高潔で、戦いにおいては自分の信念とともに名乗りを上げて挑んできます。

そんな奴らと戦うとしたらどういう戦士がいいかと考え、小さな女の子以外あり得ないと結論づけました。
つまりエレメリアンという敵キャラと戦っていくからこそ、テイルレッドは小さい方が絶対にいいと。

二メートルを優に超えるようないかつい怪人と対峙する、人間同士で喩えれば孫のように小さな娘。
しかしその幼女はとてつもない強さ。
それまでは人間などどれだけ鍛えた戦士であっても敵ではなかった歴戦の怪人たちが、次々と倒されていく。
だからといって怪人たちは警戒したり怯えたりはせず、むしろどんどんやる気になっていく。
だって相手は、小っちゃくて可愛いから。
そして、ツインテールを誰よりも愛しているから。
小っちゃくて可愛いけど、好きなものへの熱さは自分たちと同じだから――。

この流れをフォーマットにしようと決め、テイルレッドの設定も詰めました。
私はキャラクターを作る時、そのキャラにどんなことをさせたいかをあらかじめ考えて肉付けしていくことが多いです。
逆に、作ったキャラにどんどん物語を動かさせるやり方もあると思います。

懸命に頭を回転させました。怪人たちが思わず頬が緩むような可愛い子にしたい、だからといって際限なく幼くするわけにもいかない。どんな身長が最適なのか。
限界ギリギリを見極める、己との戦いです。
相対性理論と照らし合わせたり、ツインテールの最終定理に当てはめたりと試行錯誤。
そうして悩みに悩んだ結果の果てが、

身長:129cm
体重:26kg

という数値なのです。
黒板から溢れて壁一面に敷き詰められた数式の最後に、イコールで結ばれました。

私はそのようにまとめた自分の思いを真顔で話し、編集さんはそれを聞いて真顔で「なるほど、しかしですね」と返す。
最終的に水沢夢が
「お願いします! テイルレッドを129cmにさせてください! お願いします!!」
と真顔で熱く訴え、土下座という交渉(ネゴシエート)の最終形態を敢行した……かどうかは定かではありませんが、
ライトノベルはこのような終始真顔の打ち合わせの果てに作られているのですね。

余談ですがその時妥協案として提示された「高校生にしては比較的小柄」なぐらいの身長のテイルレッドが、後に主人公が男の姿に戻れなくなった時の女の子・ソーラの原形となっています。


設定の話は他のキャラにもいろいろあるので、また別の機会に。


こんな感じで創作の合間に少しつづ思い出を綴っていきますので、引き続きよろしくお願いします!!

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