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天気 日記

地下鉄の駅から地上へ登って、「なんか世界暗いな」と思った。
今日の東京は久しぶりの雨。降雨量はひどくはないものの、厚い雲が空を覆い、太陽の光は見えず、薄暗い雰囲気がある。そんな日に限って全身グレーの服を着てきてしまった。目の前を通った外国の男性2人が差していたのも大きな真っ黒の傘だし、道路の色も雨に濡れて濃くなっている。目に映るすべてに色がなく、露光も彩度もマイナス100って感じの景色だ。こういう日は気分まで重たくなってくる。


母がよく、「桜が咲くと世界が明るくなるよね」と言っていた。大げさな言い方に聞こえたけど、一緒に車に乗ってみると、そう言いたくなる気持ちがよくわかった。
空は快晴で雲ひとつなく、純度の高いブルー。道の両脇にはピンクの桜が満開で、ちらちらと舞う花びらがコンクリートさえも彩っている。心なしか植栽も生き生きとした緑に見えて、フロントガラスから見える画面はとにかく彩度が高かった。
「明るい」ってすごく広義でありふれたワードだし、主語を大きくしすぎるのは嫌われがちだけど、目に映るこの景色には、たしかに「世界が明るい」って言葉がぴったりだと思った。おかげで近くのショッピングモールに行くまでの慣れた道が、最高のドライビングロードになった。

それ以来、自分も「世界が◯◯」という表現を好んで使っている。

考えてみれば、「ウチ晴れ女なんだよね」と言う暗い人には出会ったことがないし、「雨男なんです」と自己申告する人の声はたぶん小さい。どれほど便利な世の中になっても、人はどうしようもできない空模様に気分や健康を左右されてしまうんだろうなと思う。

週末は晴れるといいな。


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書きながらこのツイートも思い出しました。わたしは北国とかイギリスとかに行ったら1週間くらいでめっちゃ暗くなる自信があります。


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