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自宅にアーケード筐体を置くということ

うちにはアーケードゲームの筐体がある。
80年代のゲーセンでよく見かけた「テーブル筐体」というやつだ。
いうまでもないかもしれないが、中にゲーム基板を入れて動かすことで、ゲームセンター用のゲームを遊ぶ事ができるものだ。
これは私が持っているゲーム機の中ではかなり好きなほうだ。

筐体入手の経緯

もう干支一週以上余裕で経過してるくらい大昔のことなんだけど、ヤフオクに出てたの。
ハーフサイズの筐体で、ご家庭でも設置が容易ですよ。みたいな感じで。
「レストア品」という振れ込みで、5万円くらいだったかな。
見つけたとき会社にいて、コレ系の話が分かる同僚に思わずメール送ってしまった。
「落とせ」と返信があり、知識なんか何もなかったけどゲットした。


ゲーセンのゲームを自宅で遊びたいのはなぜか?

興味のない人にあまり良く伝わらないのがコレ。
こんなかさばるものを買うくらいならプレステでいいじゃないの。
と言われてしまいがちだが、プレステではダメなのである。

ゲームセンターのゲーム、とくに昔のやつは
1.設置されている場所がもうない
2.当時大好きで、小遣いを握りしめて遊びに行ってたのだけど、撤去されたり店が閉店したりして失われた
3.当時はファミコンの時代で、ファミコンへの移植が無かった
4.またはファミコンに移植されていたけれど、ゲームセンター版とファミコン版は内容が違った

こういう理由で、今のゲーム機では遊べない物があるのだ。
特に3とか4は切実。
最近は今のゲーム機に昔のアーケードゲームを移植する動きも結構あるけど
当時のゲームセンターをにぎわせた、全部のゲームが補完されているわけでは全然ない。

ショーリンズロード
エキサイティングアワー
西遊降魔録
ゴールデンアックス デス・アダーの復讐
縦画面でギャラガ
魔界村
源平討魔伝
アルゴスの戦士
スプラッターハウス(PCエンジン版は良かった)

ファミコンやメガドラでカンペキな移植が遊びたかったよ。
でも無かった。当時はホゾを噛むくらいしかできることが無かった。
しかし、本物を買ってしまえばもうホゾを噛まなくて済む。
移植されるとかでなく、当時モノを買ってしまえば「忠実なのかどうか?」なぞ論じる必要はなくなる。
今日までホゾを噛みつづけてたのかよw という方もいるだろう。
自分でもホゾを噛みっぱなしだった事は忘れてたんだけど、筐体売ってるの見たら思い出すというものだろ?
そういえばホゾ噛んでたわ。

勿論、ファミコンへの移植作品で、できが良かったゲームもある。
・ファンタジーゾーン
・熱血高校ドッジボール部
・アフターバーナー とか。
熱血ドッジなんかは面白さでいったらファミコン版のほうが上だったといってもいい。
実際やりこんだし、好きだし。
でもアーケードゲーム基板のゲームを自宅でするのって、
「面白い物」を買いたいんじゃなくて、「思い出」を買いたい/蘇らせたいんだよね。「面白かった思い出」を。

神移植といわれたスーファミのスト2も、ゲーセン版と比べたら画像がけっこう違ったでしょ?

体力メーターの下に出てるキャラクターの名前とか、戦いの後のセリフ言うところとか。

フォントの1ピクセルさえも違わない完全な本物で、強いプレイヤーに邪魔されずに無限に遊びたい。
それが私を筐体購入へと衝き動かす根源だった。まさに衝動買い。

PS1の「カプコンジェネレーション」に収録されていたスト2は、スコアの表示位置が少し基板と違ってた。
何でこういう改変をわざわざすんの?って昔は思ってたけど、これは画面解像度の違いによるものらしい。
プレステだと(サターンもだけど)画面の横幅のドット数が少ないそうだ。
サターンのX-MENも体力ゲージ横の顔アイコンの表示位置がゲーセン版と違ってたけどこれも同じ理由だろうね。

スーファミ版のぷよぷよの画面レイアウトがとても変だった(ゲーセンと全然違った)のもこのせいだと思われる。
メガドライブ版のぷよぷよはゲームセンターと見分けがつかないほどそっくりに作られてた。
メガドライブは横320ドットまで表示できて、スーファミは高速動作可能な描画モードが横256ドットまでだった。
で、「ぷよ」のドット絵は縮小したくなかった、ゲーセンと同じキャラクター素材を使いたかったのだと思う。
ぷよは1粒が横16ドットで、1P側2P側それぞれ6列ずつあるので、ぷよ置き場だけで合計192ドットの幅が必要。
メガドラだと128ドット余るので、それで中央のNEXTや、キャラの顏グラフィック表示欄を作れる。
けど、スーファミだと64ドットしか余りがないから、ゲーセンと同じ画面が作れなかった。という感じでは?

そんなちいせえこと気にしてンのかよ!? 変態か!?
…って思うかもしれないけど、
気にする。
そして変態ではない。

ルイヴィトンのカバンの模様一部違ってるけど許してね! って言って許す奴いる?

元々がアーケードゲームだったゲームは、
ゲーセンの基板こそが最強であり、神であり、基準である。

家庭用(少なくともスーファミの時代まで)は、ゲーセンと同じものを何処まで頑張って再現できるのか。という物差しで作られたものだった。憶測だけど。
ゲーセン版と同じであればあるほど優秀な移植で、異なる点があればあるほど、残念な移植なのだ。
人間(家庭用)ごときが、神(基板)になれると思うのか!?
それでも神を目指す。バベルの塔を建てる。
家庭用ゲーム機にアーケードゲームを移植するという行為はそういう業を背負うことに他ならない。
まあ妄想だけど。
でもプレイヤーの心理はそんな感じだったよね?

スーファミ版の、スト2のKENステージのBGMを聞いたときに
「これこれ!これこそがスト2だよ!」って言っちゃうのはとんだトンチキだと言わざるを得ない。
修行しなおして欲しい。昇竜拳1,000回3セット。
スーファミのスト2はBGMの再現度はそこまで高くない。とくにKENステージはガビガビしてて原作(基板の音)と遠かったとおもう。

チュンリーやホンダやガイルやベガなんかのステージのほうが再現度高かったよ。

“ゲーセン版の”KENステージの音こそが、至高でありゴールであり神であることは最初から確定している。
ゴールが確定してるわけだから、それに何処まで近づいてるのか?というものさしで見なければならない。
「スーファミ版は何度も聞いたから馴染みがあるのは疑いないが、メロディの音質はMD版の方がゲーセン版に忠実」
と言えなければならないよ、本当にスト2が好きならね。

我ながらクッソきもい意見だと思うが、こういう思想だからこそ、アーケード筐体を自宅に置くことに意味があり、プレステでは味わえない幸せを感じることができるのである。
「くそキモいわwそんなんどうでもいい」ってタイプの人はプレステでOKと思うが、このように感じる人がいて、その人にとって筐体は価値があるということは、理解だけはしておいてもらいたい。

ゲーセン店内は当時(も)うるさくて、BGMがあんまりよく聞けなかったのは認める。
象の鳴き声以外よくわかんなかったよね。
だが鳴っていたのだ。ゲーセン版のサウンドをないがしろにすることは許さぬ。
メガドラ版のスト2のキャラボイスがガラガラ声で擁護のしようがないのは認める。ボイス周りはスーファミ版が優れてた。

けどスーファミのスト2(無印)、波動拳!とかのボイスが弱中強で違ったのは何でなん?
あれいらないよね、ゲーセン版は声同じだし。声の違いで弾速を相手に読まれちゃうじゃん。
ブランカの死にボイスが「うーわ…うーわ…うーわー」じゃなくて「ガォゥ…ガォゥ…ガォゥ」だったのも
なんでwww って思ったけどアレはちょっと好きw


ゲーセンのゲームと完全同じ物が家庭用でも遊べる時代

最近のシステム基板で動いてる「鉄拳」とかは完全に家庭用とゲーセンで同じ内容だと感じる。
そうなっちゃうと家庭用でいいかーってなる。
MVS(ネオジオ)やNAOMIのゲームもかなりそれに近い。

しかしだ。
私はMVSやNAOMIのマザーボード(MVSやNAOMIは、ゲーセン版も本体とソフトが分かれている。本体部分をマザボード、ゲームソフトの部分をサブボードと呼ぶ)も持っている。

同じゲームが遊べるのに、なぜ持っているのか?

さっき、家庭用では完全再現できなかったゲームは本物を買う。って言ったくせに。同じのも買ってんのか。
…と思うかもしれない。
MVSやNAOMIを買う理由は、別にある。

MVSについては、値段だ。
家庭用のネオジオは、今から買うとなったらまあ中古しか手がないけど、
とにかく値段が高い。餓狼伝説2とワーヒー2以外はみんな高いよね?
家庭用よりも基板のほうが値段が安いので基板のほうを持っている感じ。

家庭用ネオジオの中古品はさいきん値段やばいことになってる。
ソフトによっては、中古車行けるくらいの世界に入りつつあるよね。

NAOMIを持ってる理由は、家庭用ドリキャス本体を持っていないから。
…と言うのは理由にはならないか。NAOMIを買うよりもドリームキャストのほうが手に入りやすいし値段も安いものな。
NAOMIについては「いくつか移植されてないタイトルがあるから」だね。
「VF4ファイナルチューンド」や「SLASHOUT」なんかを遊んでる。


というわけで

私が筐体を持っている理由は、ゲーセンのゲームにクッソ嵌ってた頃のゲームたち --ものによっては今はプレイが困難であったり、家庭用ゲームに移植がされなかった作品たち-- の思い出を、集めて・並べて・愛でている。というのが適切な説明だと思う。

いまゲームセンターで稼働している最新のゲームを筐体で遊びたい、と言うわけではないのだ。
もちろん、今ゲームセンターでゲームにドハマリしてるキッズたちが大人になったときは、今の私とは違う感覚を抱くだろうけど。

仕事で猛烈に疲れてクタクタになって終電で家に帰ってきて、メシをかき込んで風呂にざっと入ったらもう0時、1時。
そんなときにクリアまで100時間かかるRPGの続きやるか!って気持ちにはなかなかなれない。
けど、そんなときでも、昔やりまくって動きが体に染み付いてる大好きなアーケードゲームならプレイできる。
起動も割と早いし(ものによっては遅いが)、10~30分くらいで満足できる。いい気分で眠りについて明日も仕事頑張ろう!となるわけ。

思い出をとっておきたい。いつでもお金や撤去の心配をせず、思い出をリプレイしたい。という
どちらかと言うと懐古主義的な後ろ向きな理由。

PS5も手に入るなら欲しい。
だがPS5と筐体は味わい方が少し異なるものかな、という風に思ってる。
豪華な外食と、実家のカレーライスみたいな。


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