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母と子の悩める靴選びの話

靴の話になると、私の話はどうしても長くなる。
なぜなら私は

  • サイズ大きめ(モデルサイズとも呼ばれ、通常の婦人靴売り場では扱っていない。なんなら夫よりも足のサイズが大きい)

  • 幅広(最低でも2E以上)

  • 左右差あり(左と右で足の大きさが違う。私の場合は左<右)

という、規格外の悩み多き足の持ち主だからだ。


私の小中学生時代を振り返ると、平日も休日も足元はメンズ用スニーカー一択。
その間に(今思えば懐かしの)厚底靴の流行もあったが、当時は私に履けるトレンドライクなかわいいレディース靴など皆無だった。

とりわけ中学時代になると、休日に部活やクラスの友人と街へ出る機会も増えた。しかし「大きな足」というコンプレックスが邪魔をして、私はファッションを楽しむ気になどなれなかった。クラスのヒエラルキー上位層にいるような今時の「ギャル系女子」から、トータルコーディネートのダサさを指摘されたことも一度ではない。
当たり前だ。私の悩みなど分かるはずもないのだから。

話を現在に戻す。
現在3歳の息子は、そんな過去を持つ私の血をしっかりと受け継いでしまったらしい。成長曲線の上を爆進し続け、靴のサイズ感のみならず、同世代の他の子に比べて明らかに甲高かつ幅広(3E)な足の持ち主へと成長した。
こんなところまで似なくても良かったのになあ。母になった私は心底思う。


私の小中学生時代に比べれば、ありがたいことに大きめサイズのレディース靴を扱う店は増えた印象だ。しかし私の場合はサイズに加え、前述の通りの「幅広」「左右差あり」という性質が邪魔をして、履ける靴には未だに注文がつく。

確かに、ワンサイズアップすれば幅は合うのだ。しかしつま先が余るので、歩くとパカパカするだけでなく、左側の靴が脱げてしまう。
逆に少々キツくても無理をして買うと、左は良くても右足が痛くなり、結局履かなくなってしまう。

洋服と同様に、いや洋服以上に、靴選びには慎重にならざるを得ないのだ。
これ以上靴選びに失敗したくない、そんな私の靴選びのポイントはたった2つしかない。

①必ず試し履きする
②オンライン購入はリピート購入に限定する


ひとつずつ解説していく。

①必ず試し履きする

数字上は同じサイズであっても、靴の履き心地やフィット感はブランドや個体によってかなりの差がある。そのため、試し履きはマストだ。
こと靴の初回購入に関して言えば、私がオンラインで購入することはまずないと言って良い。

高校入学前に出会って以来ずっとお世話になっているのが、学芸大学駅に実店舗のあるこちらのお店。

大きなサイズ限定の、レディース靴の専門店である。
私はこのお店で高校の入学祝いとしてローファーを買ってもらい、その後3年間、文字通りボロボロになるまで履きまくった。
こちらのお店は在庫がある靴を全て店頭に並べる代わりに、店員さんからは声掛けをしないことをポリシーにしている。
何の障害もなく、納得いくまで靴を試し履きして、本当に自分に合うと思える靴を人生で初めて手に入れることができた。お店の存在には感謝しかない。

②オンライン購入はリピート購入に限定する

とはいえ、結婚に伴う転居に加えて子どもも産まれた私は、ますます実店舗から遠ざかるばかり。前述のタルサタイムにはオンラインショップもあるため、現状はどうしてもオンライン購入にならざるを得ない。そんな中でも私が靴を買うときは、サイズ感を把握している馴染みのメーカーから選ぶようにしている。
今は新しいブランドに出会うワクワク感よりも、失敗しないことが最優先なのだ。

息子についても、3Eの幅広ともなると、選べる靴はもはやキャロット一択と言って良い。加えて数あるキャロットの靴の中でも、3Eサイズのデザインは限られたものしかない。
サイズアップのタイミングになったら、その時々でデザインを交互にしたり、色を変えながら同じ型番の靴をリピートし続けている。はっきり言って変わり映えはしないが、失敗はない。

入園当初は、子ども靴ブランドの中でも比較的大きめとされるイフミーを購入していた。しかし一週間も経たずして「きつい」と言って履かなくなってしまったため、より幅広のラインナップがあるキャロットに落ち着いた。こうなると(ネットの口コミで小さめと噂される)ニューバランスなど、怖くて買う気も起きない。


息子の登降園で保育園に行くと、新幹線とのコラボ商品や、走ると靴底がピカピカ光るようなデザインのものなど、結構凝った靴を履いた園児の姿がどうしても目に入る。
興味ありげに彼らの靴を見つめる息子の姿に、かつての自分を重ねる。

今はこういった靴は息子には諦めてもらう他ない。
けれども私がそうだったように、大人になれば履ける靴のバリエーションの幅も広がるはずだ。
息子は「はやく大人になりたいよー」と事あるごとに口にするが、こと靴選びという点においては、大人になってからの方が確実に生きやすくなったなと、そう思っている。

今日は初夏のような良い天気だ。今年は久しぶりにサンダルを買いたいな。そう思える位にコンプレックスから抜け出せた今の私は、ファッションにお金を使うことの楽しさがようやく分かりつつある。

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