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今「おもしろい」と感じることは ーこんちゃんとの往復書簡ー


 こんちゃん、こんばんは。今週は梅雨空が続いていて、午後から晴れてきたりすると、仕事帰りにすさまじい夕映えに出会えます。雲ひとつない夕空はもちろん神々しいけれど、梅雨時の分厚い雲はドラマチックな夕焼けを演出してくれますね。

 この往復書簡も今回で最終回だと思うと、ちょっと淋しいです。「過去」に焦点をあてた2往復とはちがって、3通目のお手紙には、こんちゃんのすこやかな「今」があって、とてもまぶしかった。親の支配から物理的な距離をとって、人生を模索しながらも自分の居場所を築いたこんちゃんの行動力。これってすごく勇気のいることだし、今この瞬間、親子関係でもがいている人にも届くといいなぁって思っています。

 この往復書簡は、こんちゃんが standFM✕note で展開している企画 #ひとつ質問してもいいですか ? から生まれました。
 2月半ばのZoom対談を経て、わたしのわがままで音声配信ではなく、手紙というかたちで参加させていただくことになりました。
 全3回の往復書簡も、いよいよ今回で最終回。こんちゃんから頂いた、このお手紙へのお返事です。

 

 世代も性別もちがう こんちゃんとわたし。Zoom対談でくっきり輪郭が浮かんだ共通項は、「ゆがんだ母子関係」と「共依存からの脱出」でしたね。ここ数年の若い言葉で表現すると、いわゆる「毒親」育ちな過去。この言葉は好きじゃないので、あまり使いたくありませんが。

 前回のこんちゃんのお手紙にもありましたが、わたし達はそれぞれに良い出会いがあって、それまでの母子関係のなかで失われていった「自分はどうしたいのか?」に気づく訓練をはじめましたよね。
 ずいぶん遠回りしたけれど、そこからようやく自分の人生の一歩を踏み出して、今はかけがえのない出逢いとご縁のなかで生きています。

 「どっちがおもしろそうかな?」という こんちゃんの選択の基準。これって素敵ですね。興味をひかれる方向へ進めば、絶対にわくわくする瞬間があるはずだから。そうやって選択したもので、こんちゃんの未来を創っていく。そこには希望と、自ら選択したという自信がきらめいていて、こんちゃんの背中を押してくれるはずです。
 お手紙にこめられたこんちゃんのわくわくを感じながら、わたしもわくわくしていました。

 

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 そういえば、まだ、最後の質問に答えていませんでしたね。 

今を生きるうたさんが、今「おもしろい」と感じることってなんですか?

 これはね、わかりきった回答しかできません。

「文章を書くこと」です。
 正確に言えば「あ、これ何か書けそうじゃない?」って、アンテナの反応を確認することがおもしろいです。プロフィールどおり「手のひらサイズの日常」のなかで出会える感情の動きを描きたいんですよね。

 つい先日、わたしの過去を綴った1年以上前のシリーズ ReBorn;32 のマガジンを、自分のnoteで初めて有料にしたんです。マガジンをフォローしてくださっていた方々には、事前にお詫びのご連絡をして。有料化の理由は、購入してほしいからではありません。
 もう、水野うたの原点として、あの「過去」を知っていただく必要はないなって思えたからです。隠したいわけじゃないんです。でも、わたしがこれまで背負ってきたものなんて、読み手には必要ない。
 日々更新される「今のわたし」が原点だと気づけたから。

 つらく哀しかった過去は、もう書き終えたんです。

 だからね、今のわたしの関心事や、心うごかされた瞬間を、エッセイにしたり、ちいさな物語に仕立てたりしていきたいと思っています。#仮面おゆうぎ会 の影響か、最近フィクションを書きたくなっているんです。発想が乏しいので、相変わらず 0→1 で苦しんでますけどね。

 明日からペナントレースが再開になるプロ野球も楽しみだし、椎名林檎のLiner Voice+と東京事変のニューアルバムも仕事の行き帰りにご機嫌で聴いてるけれど、今のいちばんの「おもしろい」は、書くことと書く準備なんですよね、やっぱり。

 

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 こんちゃんの「うたさんにはじめて会う時のシチュエーション」がフェスっていうのは、楽しい想像ですね。フェスに憧れながら、実は一度も行ったことがありません。

 フェスに行きたいと初めて思ったのは、坂本龍一・小林武史・桜井和寿の手でap bank が設立されて、静岡県のつま恋での ap bank fes '05 の映像を見たのがきっかけでした。音楽の素晴らしさや楽しさは言うまでもないけれど、ap bankの理念や活動に心動かされて。
 この空間に参加したい!って思ったし、チケット代をこうやって循環させることができるんだ!っていう思ったら、わくわくしたんですよね。
 でも、絶賛ワンオペ育児中だったわたしは当時お金も時間も自由もなく、フェスに行くなんて夢のまた夢。開催地が東北に移ってからも、いつの日か絶対!と思いながらここまできて、自由に行ける環境になった途端に自粛の毎日です。

 スカパラもエレカシも聴きこんできたわけではないけれど、どちらも好きですよ。真夏の空の下で聞くスカのサウンドも、パンチのきいた宮本浩次の歌声も、気持ちいいでしょうね。

 

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 こんちゃんと三往復の手紙のやりとりをしているうちに、わたしの中で「過去」の位置づけが変わったような気がしています。
 それはきっと「言語化」の効用なんでしょうね。自分のなかで解ったつもりになっていたことを、こんちゃんに伝えたくて言語化していくうちに「過去は書き終えたんだ」って気持ちになれたんですから。こんな貴重な機会をいただけて、わたしはラッキーでした。

 こんちゃん、企画「ひとつ質問してもいいですか?」にお誘いいただいて、ありがとう。
 また、お話しできるのを楽しみにしています。




ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!