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ちょっと昔の日本にはこの手の神話がありふれていたのか?「楢山節考」感想

ウバステ!
食料の乏しい集落で、姥捨が文化の一部になっている社会のお話。作者の出身地の伝承が元ネタらしい。ちょっと前の日本では当たり前のような話だったのだろうか?

残酷で不条理なはずだが、不思議と悲しさも怒りも湧いて来ない自分に逆に戦慄する。
淡々とした語り口だからだろうか、ドラマチックな湿っぽさはなく、神話、絵巻物のように乾いている。人権とか法とかのかなり手前にある摂理を感じさせる。

母親と最後の会話がしたくて来た道を駆け戻る親子愛と、掟を破って引き返し捨てた母親に話しかけた事を誰かに見られないか恐れる世間体(社会性)がせめぎ合う所が痺れた。

ムレの生存を優先する時代から、個を尊重する時代に転換しつつある。いや〜いい時代になったもんだ!・・・とは単純に言い難い、そう思う本でした。

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