見出し画像

ベイビーブローカー感想 見る前に韓国の赤ちゃんポストについて知っておいたほうがいい

ベイビーブローカー見てきた。『パラサイト』のソンさんと『万引き家族』の是枝監督のタッグ。これだけで見ない理由はないな。

赤ちゃんポストに投函された赤ちゃんを、非正規の手段で横流しして養子縁組仲介料をせしめるセコイ男たちが主人公。
そこに、一度は捨てたがどういう心境の変化か、赤ちゃんを迎えに来た母親がやって来る。育てる自信はない、しかし、赤ちゃんは心配だ、養子縁組でいい家に引き取られて金が貰えるんだったらそれが一番いい。
そんな利害の一致から、男たちと若い母親は里親探しの旅に出るのだった・・・。

正直、途中寝そうになった。登場キャラは多いし結構話が複雑で、ここまで難解にする必要はあったのか?と思いながら見ていた。

見終わって帰宅してるときに、ふと韓国の赤ちゃんポストのことを思い出した。熊本の病院にあるような赤ちゃんポストが韓国にもあって、ここに置いて行かれた赤ちゃんが凍死してしまうという事件があったのだ。
母親は赤ちゃんポストの使い方がわからず、パニックになり、人に見つかる前にポストの外に赤ちゃんを置いて急いで立ち去ってしまった。韓国の冬は厳しいらしい。適切に赤ちゃんポストが使用されれば1分以内に職員が駆け付け、赤ちゃんと母親を保護するシステムになっていた。しかし、誰にも気づかれないまま小さな命が死んでしまうこととなったのだ。

ひょっとして、この映画はその事件で死んだ赤ちゃんが死なずに済む(というか幸せに生きられる?)世界線を考えたifストーリーなのではないか?と考えたとき、自分の中でストンと納まった。
置いて行かれた赤ちゃんをすぐに保護していたら?
母親はどうしたらよかったのか?
行政は?
警察は?
里親は?
多くの孤児たちは?
おれたちはどうしたらよかったのだろうか?


「生まれてきてくれて、ありがとう」
彼らは旅の果てに、その言葉にたどりついた。
難しいことは何も必要なかったのだ。

命を慈しみ、存在を認め合う。それだけでよかったのだ。

それができるのが人間で、それができないのもまた人間なのだ。

人助けなど出来たガラではないが、せめて他者を認められるだけの人物にはなりたいものだ。



この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?