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アカシア

うたうたいは
ひとり うたう
夜の虚空へ
どことも知れぬどこかへ

白い吐息は闇へ紛れる
波音は言葉を浚う
消えてゆくばかりのものを
かれは捧げる

だれも聴くはずのないうたを
聴した者は目を瞠る

かなしみが
あかあかとうつくしいこと
うつくしさが
いのちをいつくしむこと

不可思議な明るさに満ちた天涯の聖域
われらはいま招かれた

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