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瑠璃唐草

雲一つない青天の
み空色も仰がずに
俯いて歩いていた
しかし 不意に
瑠璃のひかりに
射抜かれた

わが眼はこの小花らへ
如何なひかりを返せるか
一日花の瑠璃唐草は
明日には もうないのに
しかし なお青いのだ
だから なお青いのか

生きていると
苦しいことの只中に入っていく
今こそ地獄だと
思うことがある

人はそのとき
青い花を見る
矢車草
カッコウアザミ
ブルークローバー
露草
オオイヌフグリ 山すみれ
青い花の
鋭い光に射られて

立ち上がることのできない生を
その光に射られて

立ち上がり
ふたたびみたび いや百たびを
その只中に入っていく

山尾三省「青い花」

(だいすきな詩への、オマージュのつもりです。ネモフィラではない、もう一つの瑠璃唐草の、失礼な通称への、ちいさな抵抗と、言祝ぎのため、この青い花のことは、今後も詠みたいです)

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