【一般向け】テレビ電話による面会交流に法務省が言及

概論

面会交流は、別居中もしくは離婚成立後に、子どもを監護していない親(非監護親)が子どもと面会その他の交流を行うことであり、子どもの重要な権利として位置づけられています。面会交流の合意をする場合、多くの事例では、月に1回程度、非監護親と子どもが面会すると言った取り決めになっています。

もっとも、今般のCOVID-19流行により、現在、我が国では人の移動が極めて制限されており、直接の面会が困難になっています。

そのような中で、法務省は、【新型コロナウイルス感染症関係情報】面会交流についてという通知を出しています。そこでは、

例えば,これまでは,直接会う形での交流を続けてきた場合でも,子どもの安全等を考慮して,一定の期間,通信機器等を利用した方法での交流や,手紙での交流等に変更することを検討するときには,次のような事項について話合いをすることが考えられます。

とした上で、

○ 代替的な交流の方法(例えば,ビデオ電話,電話,メール等)
  ※ ビデオ電話や電話等の場合にはどちらから掛けるかも決めておくとよいと考えられます。
○ 日時(例えば,毎週何曜日の何時から何時まで等)
○ 代替的な交流の方法を用いる期間
○ その他,円滑な交流のために必要と考えられる項目

として、明示的にテレビ電話を用いた面会交流の方法が提案されています。現状、これまで特に問題なく面会交流が実施されてきた場合でも、4月、5月については実施できない状況が続いている、ということは多いと思われ、テレビ電話による面会交流の普及について、国の機関が言及したことは積極的に評価されるべきものといえます。

もっとも、実際にテレビ電話を用いた面会交流を実施するにあたっては、いくつかの技術的問題もあると思われるため、少し指摘しておきます。

テレビ電話による面会交流を行うに当たっての問題点

1 通信料

監護親の家庭にWi-Fi環境がなく、スマートフォンのデータ通信のみを利用している場合、テレビ電話を実施することによって、データ通信の上限量を使い切ってしまう可能性があります。特に、SIMフリーなどで通信料を抑える代わりに、データ通信を1GBや3GBまでとしている場合、データ通信の容量をオーバーしてしまい、以後の通信に速度制限がかかることが考えられます。事前にこの点に留意する必要があります。場合によっては、相手にデータ容量の追加費用を援助してもらうことも検討されると思います。

2 通信速度

テレビ電話は音声と画像をウェブ上で送受信するものであるため、双方の自宅のネット環境が悪いと、音声が飛んだり、画像がカクカクするなどの不具合が発生する可能性があります。事前に、ご自宅のネット環境をチェックすべきでしょう。速度の測定には、fast.comなどが簡便です。

3 録画・録音

テレビ電話の内容は、議事録作成のためなどから、比較的簡単に録画や録音ができるようになっています。このため、面会交流の様子を録画・録音してもよいかどうか事前に明確に取り決めていなかった場合、そのことが原因で思わぬトラブルに発展する可能性があります。また、非監護親の側では、非監護親以外の者がテレビ電話に入るか否かについても、監護親に確認をした方が無難でしょう。

裁判所は動かないが・・・

緊急事態宣言を受け、裁判所は面会交流の調停期日を一律に取り消しており、面会交流を巡る裁判は、全国的にほぼ完全にストップしています。裁判所は、面会交流の事件を緊急性がないと捉えているようですが、当事者の立場からすると、1日でも早く子どもに会いたいという要望に、緊急性がないなどとはいえないはずです。

とはいえ、我が国の制度上、当事者同士の話し合いによって面会交流が実現できない場合には、調停手続を利用せざるを得ないというのが建前です。このため、面会交流について合意がまとまらない、相手と直接やり取りしたくないと言った場合には、弁護士を間に挟んだ方が、早期の面会交流が実現できる可能性があります。

当事務所では、当事者同士が遠方に居住しているなど、比較的、合意の難しい面会交流事案も積極的に取り組んでいます。子どもに会いたい、という希望を叶えたい方、お問い合わせをお待ちしています。

こちらのお問い合わせフォーム(便宜上、離婚用のフォームを掲載しています)をご利用下さい。フォームからお問い合わせいただくだけで費用が発生することはありません。


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