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学び

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自分にとって学びになったことのメモなど
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#ストーリー

「自分らしさ」は探さない。

「自分らしく生きる」 周囲の目やしがらみから「自由」になるための価値観として讃えられることの多いこの言葉は一方で、承認欲求を際限なく求めてしまう「罠」にもなる。 摂食障害の当事者の調査・研究を続けてきた文化人類学者の磯野真穂さんは、自著でそう指摘します。 「『自分らしさって何だろう』と自分に注目することは、『他者』に注目することでもあるから」 どういうことなのか、話を聞きました。 「自分探し」は、かたちを変えた承認欲求――いつから「自分らしさ」に目が向くようになった

モネ・ゴッホ・ピカソ—名画を未来に残すために。 「絵画保存修復家」という仕事

香川県・直島にある地中美術館。5年ほど前にそこを訪れ、私が目にしたのはクロード・モネの「睡蓮の池」だった。モネ室と呼ばれる広い展示スペースの白い壁に飾られたその名画は、想像していたよりも大きく色調の美しさとパワーに圧倒されたことを覚えている。 モネが描く世界観を現在まで守ってきた職人が、絵画保存修復家の岩井希久子さんだ。モネ、ゴッホ、ピカソといった、名だたる芸術家たちの作品を蘇らせてきた。 岩井さんのアトリエを訪れ、絵画保存修復家の仕事について聞いた。 1955年熊本生

「本のない家」で育った私が、ブックデザイナーになったわけ。

『クイックジャパン(太田出版)』、『文藝(河出書房新社)』、『生理ちゃん(KADOKAWA)』など人気タイトルを数多く手がけてきたブックデザイナーの佐藤亜沙美さん。装丁や本づくりへの思いを語ってもらった。 そんな佐藤さんは意外にも「本のない家」で子ども時代を過ごしたと話す。それでも本づくりに携わる仕事に就いたのはなぜ? 本はルールをちょっと外すと刺激的になる 佐藤)学生のころに、デザインの勉強をはじめました。そのあと働き始めた出版社のデザイン室は、ひとりひとりがプレイヤー