今年どうしても日テレが24時間テレビを放送するというなら、これだけは実行してほしい5つのこと

最初に言っておきますが、私は24時間テレビは「無い方がいい」と思っている人間です。このような番組がなくても福祉に十分に手が差し伸べられ、困っている人が助けられる社会が形成されていくこと。それが第一だと思っていますので、決して24時間テレビ側を肯定したり、24時間テレビに反対する人を貶めたり、そういう気持ちでこの記事を書くわけではありません。その立ち位置だけ先にはっきりさせます。あくまで「個人的見解」であることをご了承ください。

今年の24時間テレビは「愛は地球を救うのか?」にテーマを変更。募金着服問題を受けて放送意義が根底から崩れた24時間テレビをもう一度再定義するための放送とする、というふうに日本テレビが今日発表しました。

放送することに文句は言いません。
反省とは常に、自分自身で考えるところから
全て始まりますから。

ただ、どうしても今年1回休まずに伝統を受け継いで放送を行うというのであれば、24時間以上にも渡る放送時間のどこかで、必ず実行して欲しいことがあります。ですので、この場を借りて日本テレビに提言します。

なお、今年はいわゆる「セクシー田中さん問題」も日本テレビが抱える大きな問題として広く世間に認知されていますが、今回はあくまでも24時間テレビの問題点にフォーカスし、それらをクリアにするための提言をまとめさせていただいております。


①募金不正流用の検証報告

何時でもいいです。深夜枠でも早朝でもいい。ゴールデンタイムに差し掛かる時間ならなおいい。夕方のnews everyで検証報告をやって、それで済ませたつもりなら甘いとしか言いようがないです。24時間テレビで起きた不正は24時間テレビで時間を取って、クリアにしてください。やらせ問題も、悪質テロップ問題も、全て放送局はわざわざ独立した放送枠を然るべき時間に設定して、視聴者に報告をしています。

検証報告がある程度まとまって一度視聴者に報告した時から、ずいぶん時間は経っています。新たにわかったこと、まだ不透明なこと、決まったこと、全てを正確に説明する時間を設けてください。

②CMゼロゾーンを特設

営業のしがらみがあるでしょうから全時間帯でやれとは言いません。一部の時間だけでいいです。少なくとも昨年の放送によって得られた放送収入以下の金額に抑えるために、CM自粛をしてください。1996年、マスコミ史に残る不祥事となった「TBSビデオ問題」でも検証番組は全てノーCMでした。不祥事の報告、精査をするための番組にCMは不要です。利益を得ようとしないでください。

③24時間マラソンを中止

エンディング前のちょうどいい時間に間に合うようにダラダラ長時間やってる「自称マラソン」に意味はないです。というか不祥事の反省にマラソンする必要ないです。誰も走らせないでください。

④タレント・芸能人の起用を最小限に

一切出すなとは言いません。24時間もの連続放送をタレントなしで成立させるのは大変だからです。ただ、これも例年より起用を少なくしてください。

毎年の傾向から、STARTO系アイドルや坂道系アイドル、日テレの番組に出演のお笑い芸人などの起用がすでに予想されていますが、ちゃんちゃらおかしい話です。これは「反省と再出発」のための24時間テレビなはずです。大騒ぎする時間はないはずです。

出役のアナウンサーや記者だけでなく、出せる範囲で社員が最大限出演し、それでもどう考えても回らない部分だけをタレントにしてください。それは系列局も同じです。たとえ日テレや日本海テレビ(不祥事を起こした局)とは別だからという言い訳は通用しません。系列の不祥事=放送した全局の責任です。

これでもし深夜に「有吉の壁SP」とかやろうもんなら汐留で暴動起きかねませんよ。その覚悟ありますか?

そして、最後に。

⑤社長自ら生出演

これは絶対です。なければ視聴者は納得しません。なぜ局全体、もっと言えば系列の根幹を揺るがす不祥事なのに、1社員であるアナウンサーが「総合司会」に選ばれただけなのに、あたかも不祥事の責任の全てを負わされているかのように幾つも番組を梯子して放送への経緯を説明しなければならないのでしょうか。見てられません。

代表取締役社長・石澤顕様。
聞こえてますか。あなたがこの場に出るべきなのです。
日本テレビ・NNNの最高責任者であるあなたが。


釈然としない。
これだけ書いてもモヤモヤすることばかりです。

なぜスタジオジブリにTシャツの絵を描かせ「僕はわからない、君はどう思う?」と言わせる必要があったのでしょうか。ジブリが日テレの子会社だから下僕扱いしていいとでも思ってるんでしょうか。だとしたら傲慢ですよ。考えるべき人間はジブリじゃなくて日テレの中にいるはずですよ。無地のTシャツで良かったんじゃないですか。

なぜ「24時間テレビチャリティー委員会参加の1社で不祥事が発生」と、不祥事を起こした局の名前を伏せるのですか。日本海テレビへの責任追及をうやむやにさせるためですか。信頼回復は、社名をはっきり出しての検証報告でしか不可能ですよ。

なぜ一社員であるはずの水卜アナウンサーが情報番組を回って泣きそうになりながら謝らなければいけないんですか。所詮アナウンサーは捨て駒ですか。そんな存在結局どうでもいいんですか。

説明、謝罪、討論、取材、報道、検証。
必要なのはこれだけです。
これだけで構成するべきなのです。

このままじゃ、欽ちゃんが泣くよ。



1978年【第1回 24時間テレビ 愛は地球を救う】メインキャスターの大橋巨泉の番組オープニングでのスピーチ


皆さんこんばんは。大橋巨泉です。ここは日本テレビのGスタジオ。日本で一番最初に出来た民間放送のテレビスタジオです。それから 25 年経ちました。今日本ではテレビがおそらく一番日本人にとってなくてはならないものの一つじゃないかと思います。

ただし、問題はそれだけ本当に我々が幸せなんだろうかということじゃないかと思います。これほど庶民の気持ちを表すことができるメディアというのはそれまで活字媒体ではなかったわけですから、もっともっとテレビというのはみんなのために役立ってもいいんじゃないかと、そういう風に考えたわけです。

そこで、今夜は今までのテレビプログラムを全部 24 時間休ませていただきまして、全く白紙に戻しまして。このテレビは一体何ができるかっていうことをやってみようと思うんです。そして地球に住む我々が一体幸せなのかどうかということももう一度。そのかみしめてみたいと思います。

同時に世の中にいる弱い人たち、そういう人たちのためにテレビが役立つかどうか、テレビを通じてチャリティーをしてみたいと思うんです。

 25 年前から比べると日本はずっと豊かになりました。しかし、25 年前僕は大学生でしたが、まだあの頃は我々日本人同士助け合って生きていこうじゃないか、元に復興しようじゃないかって気がありました。日本はその間に豊かにはなりましたが、いつの間にか弱肉強食の国になっていたような気がするんです。

受験地獄から入社試験までみんな人を押しのけて、人を押しのけて力のあるものだけは生き残るという、そういう時代になってると思うんです。ついこの間も福田総理大臣が、競争は教育の根源であるということを言いましたが、競争もいいかもしれませんが、みんな競争競争でやっていたんでは、弱い人たちだけが取り残されてしまうと思うんです。

そういう生き方はやめようと。どうせ地球は一つしかないんだし、そこで我々生きなきゃならないならば、もっとみんなで助け合って生きていきたい。それを今日は実践したいと思うんです。なぜこんな世の中になってしまったかということは、明日の夕方【日本の110 年】というところでお話したいと思いますが、これからの 25 年間、テレビはどんどんどんどん進んでいくと思います。

ただ今日 1 日だけの実験をやりたいと思います。




おしまい。