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Walk this way

ちゃおお。おげんき?水宮は今日も小学校低学年並みにげんきです。ドッジボールはしないけど。


で、51歳も終わるって年の瀬に精神年齢小学校低学年の私は『スーパー戦隊もの』をいつものように視る。
クラクラ。


なんならゴレンジャーから語れるが、今のはとにかくトリッキーにバカみたいに強く、ってしないといけないらしい。あと沢山盛り込まないといけないらしい。出演者は全員美形であるように。幸せであるように。でもひどく不幸でもあるように。めんどくさくなったら全投げ切り替え。
大変だよ多様化っつったって。バスケットはいっぱいね、子どもたち。


早く速くという展開もクラクラの元だけど、確か聞いたなあ。若い人は何でも早送りで視るって。それでも視れるし聞き取れるそうだ。
「早くしなさい」。
早く、速く、何をするの?ほんとのことなどそれじゃ何も分からないのに?そして死ぬまで急ぐの?何も分からないまま?


「おれの人生にはなんの意味もない、と感じながら死ぬのが怖いんだ。怖いのはそれだけだ」
身の毛もよだつような犯罪を犯した囚人はそう答えた。
加藤諦三さんがアメリカで、刑務所から「命の保証はしかねます、それでよろしければ」という書類にサインさせられ、厳重に囚われている「凶悪犯罪を犯したとある囚人」にインタビューした時の答えだ。
質問は
「あなたが一番恐れるものはなんですか?」。彼は静かに答えた。その答えを。


おれの人生には何の意味もない。そう感じながら死ぬのが怖いんだ。怖いのはそれだけだ。


胸が苦しくなる。
生涯、過ちとはいえそこに閉じ込められて死ぬさだめの人と、外の世界で自由であったはずの若い頃の私がおんなじ恐怖を持っていた。
多分多くの人が同じ恐怖を隠してる。
お前なんか無意味だと、他者が、いえ誰よりも自分が断ずることを恐れてる。



意味?わかんないけど。でもなくていいよ、と教えてくれた存在は、人、そしてそれ以外で現れた。その辺にいる人々から道端の苔ですら。そして笑った。どうしたの?泣かないでね。大丈夫。


なるほどその通り。
何をあわてていたのかな。あわてたら、何もかもだいなしになる。そしてしばしばひどい目に遭い、遭わせる。その代償が一生になることもある。


でも、子ども向けらしいプログラムもSNSも、「じっくり、ゆっくりね」なんて言わない。とにかく派手に急げって。速くしなさい。速く、もっと華やかに美しく。そうでないと許しませんよ。そうでないとお前なんか意味はないんだ。叫ぶ。怒って殴る。
イヤ。私は逃げる。カンタン、スイッチを消すだけ。

私は笑って、遅い手で料理をしながら音楽をかけ、ゆったりステップを踏む。
そして言ってやるの。
「うるさいわね。あたしの邪魔をしないで。あたしの『仕事』には、時間をかけなきゃいけないの。なぜ?知りたければ、来世にでもデートしましょ。あたし忙しい人たちは老若男女血縁も問わず振る主義なの。ほら、あなた急ぐんでしょ?いってらっしゃい」

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