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コンビニの天使たち

いやいや週末の水宮ですよ。皆さまいかがお過ごしですか?写真はさっき撮った皇帝ダリア。背丈はアンドレくらい。チョップされたら死ぬよ。


寒いと手足が痛いんですよ。先輩方の言うことがいきなり身に染みたこの初冬。手足痛え❗️と思っても、風呂でほとびて、暖房とくつ下で治る。なんと人間、単純か。ホットフラッシュでいつでも更衣室では「あぢー」と半裸で歩いて「こらー水宮下着エロいんだよ、冷やすんじゃないよ?」
と叱ってくれてた先輩方ありがとう。まあ甘酒でもご馳走しますよ。


寒いから、コロナこわいから。外に出るなんてAre you nuts?だったが歩くと気分も明るむのも事実。
屋内ダンスとシットアップのルーティンをこなして外へゴー。


寒いよちくしょう、アホな部活かよ。だがヘッドフォンの中で焚き付けるダンスミュージック+今日はThe Struts。むーん俺は歩いちゃうから。農家さんに野菜買いに行くんだから。

20分歩けばいいとかいうけどね。


軽いよアンタ、この片田舎じゃ。
必要なことをなすために、皆この辺じゃ車に乗る。私は向精神薬を飲んでる関係上、ペーパードライバーだったが免許を数年前に返上した。で、テコテコ歩いて生きてきた。


T兄が長期出張する前、ヒマさえ有れば車に乗って出かけ、すぐ帰ってくる。不審に思った私は訊いたのよ。


「T兄、お出かけ早かったね?」
「そこのコンビニだから」コーヒーとタバコとブラックサンダーを手に、こともなげにT兄は言うのだ。
「あの。T兄。そこのコンビニ?」
「そうだよ?」
「歩いて30秒だけど?」


静岡で生まれ育ったT兄は、そんなことは当たり前だろう、お前こそ車に乗らないなんておかしい、これだから東京っ子はと、呆れたように言った。
「ほれ、お前の好きなワイン」
「もおー無駄遣いしないでよお」


私は歩く。音楽に合わせて歩いたり踊ったりすることほど心浮き立つことはない。


猫はいないだろう。寒いもんな。あいつらはよりあったかい場所に隠れているんだよ。
しばらく会えないだろうけど、いいんだ、あいつらが幸せで、またそのうち会えれば。


目星をつけた直売所は、少し歩くとある。大根、ゆず、里芋、白菜、ネギ。全部立派で大きい。イヤーン❤️全部100円❤️やめられない。


迷いに迷って、わっさわさの葉をつけた掘り立てかぶをひと株入手。リュックに突っ込み、また歩き出す。

半月が、大根の半切れみたいに透けて、西の方へ傾きかけている。空はいやになるほど青い。深く高く。


かぶの末路。


ゆずで浅漬け。ジンにすげえ合うのよコレ。
実の方は夜、クリームシチューの刑っす。牛乳買ったからね。

葉っぱはこのような刑に処した。昼めし兼つまみ。


いつものコンビニで必要な物など買い、万券を崩す。近々先輩とごはんを食べるので、千円札や小銭を用意しておきたかったのだ。


いつものお姉さんやお嬢ちゃん店員さんと軽口を叩く。
お姉さんのほう、けっこう美人なのよ。若い方の女の子はシャイでこれも可愛い。
おじさん(つっても多分私とたいして変わらないだろう)も真面目で好青年がそのまま年をとった感じ。


どうしよう。みんな好きだ。


別に東京でも彼らとのやりとりは変わらなかったけど、こちらでは何故だろう、店員さんたちや市井の人々が、かろやかなコミュニケーションにより飢えているようだ。


「よー」みたいに声をかけると、砂漠で水をもらったみたいに、突然ほぐれて笑顔になる。


深夜のこの辺のコンビニは、けっこう荒くれている。
走り屋、暴走族、トラックドライバーがあやしくたむろっているし、昼間は昼間で私のようなくだらん酒飲みがダラダラ来るから、心優しいコンビニスタッフのメンタル、推して知るべし。


東京にいた頃、仲のいいコンビニスタッフがいた。
令和が始まった日の深夜、仕事が休みになったので酒を買いに行き、めでたい日だからとソフトドリンクを奢ったら素直にジュース持ってきて、カウンターで二人で飲んだ。私は小さなスパークリングワインを。カンパイ、と容器を打ち鳴らして。


色んな話が聞けて楽しかった。そいつは学士のくせに10年選手で、遠くから深夜帯に通ってて、しかも出世したくないという見上げた三十台のS君。


いらい早朝出勤の私と毎朝店の前で掃除する彼とオイッスと挨拶していたっけ。
その店のマネージャー、若い女の子、午後いる姉妹のような姉さん方。みんな好きだった。


そんなことを思い出す。


彼らの生活。暮らし。人生。
あの地でもこの地でも。


ジンとタバコを買い足して、また歩き出す。
まだ歩きたいよ。
暑い季節は本当に辛かった。
コロナがこわいのもまだPTSDみたいに残ってはいるけど、外気はどうしてこんなにも気持ちよくて美味しい?


なんであんなに、澄んだ蒼穹は大きい?


流行り病や歴史の果てから自分も含めてクヨクヨする人心と、あれと、なんの関係が?


そして今日も何気なくて偉大な、コンビニの天使たち。


「ぶらりぶらついてブラー
ユラリゆられてユラー
突然理屈がぶっ飛んでうーわー」


(ユラリジャーナル/スチャダラパー)


この辺のコンビニスタッフさんたち、クリスマスプレゼントとかしたら、嫌がられるかなあ。一人一個、チロルチョコとかさ。
配達の人たちにはちびチョコあげてる。寒く、なったものね。

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