見出し画像

好みのタイプ


「水音ちゃん、いくらなんでもアイツはやめときなよ。せめて亡くなった旦那さんていど、ね?サモハンくらいのさあ。アイツ似てないって旦那さんに。マイケル・ホイじゃん?しかもラーメン屋なんだよ?」
亡・前夫の行きつけだったバー。昔は未練たらしくたまに行っていた。死んだ彼がいるわけもないのに。そこでふと知り合ったマイケル・ホイ激似の男性。目をハートにしていた私をマスターがたしなめたものだ。あれは類似品ですらないよと。



作業着にメット、安全靴に安全帯のダーリンたちが作業する工事現場を眺める、いやらしい私の視線。きわどい格好のグラドルに鼻の下伸ばしてるかもしれない彼らが、その作業着姿を私に鼻の下伸ばされながら眺められてるなど知る由もなかろう。ふふふ、貴方がたはみんな私のものよ。妄想ではね。あー全員はべらかして飲みてえ。あ、そこ、私服に着替えてきちゃダメ❗️
なんか私今日小遊三師匠みたいね。すいませんスケベで。



好みの男。
スーツ?嫌。
エリート?嫌。
高学歴?嫌。
見せ用筋肉?唐揚げにしちまうぞ。
金持ち?るせえ。
イケメンで若い?作業着着て来い。あと47キロを軽々持ち上げられないならおととい来い。



好みの男。
ルパン三世、石川五右衛門十三世、スペースコブラ、パズー、六角精児、大地康雄。
さて、私の旦那さん・T兄はどのタイプでしょう?
見事当てた方には、そうだな。一句プレゼント🎁(←ドンブラザーズのサルブラザーか)



そんな無骨な男がシャイだったりするとドキッとする。
そんな男が優しかったりするのは、最高に色っぽい。



優しいとは?
お金を出してくれることじゃない。私は赤貧だけど不要なものを施されるほど落ちてないわ。大体そこで上下決まっちゃうじゃない。のちのちろくな語らいも出来なくなるわ。金をやった側は残念ながら、多くは思い上がるし、貰った側は多くが卑屈になる。そんなんで最高の恋なんか生まれる?



エスコートの基本。別に店なんか行かなくていい。
ふと、いつも車道側を歩いてる。歩幅を、小柄なこっちに合わせてくれてるのに気づく。
段差で先へ一歩登り、手を差しのべて言う。
「足元気をつけて」
そして笑ってる。いついかなる時でも。



そういう人々は男女かかわりなくいるものだ。恋もしたし、真似したかった。女が男にしてあげたっていいんだもの。
そして、ガールフレンドやボーイフレンドだけに優しくするのじゃなく、日頃から誰にでも出来てるならトップ。ゴールド。それはつい出てしまう。最高の意味での地金が出る。その地金は純金。



参考になるか分からないが、私の幼い頃の愛読書は
「家なき娘」(エクトール・アンリ・マロ作)
「シンデレラ」
そして
「小公女」(バーネット作)
はい分かりますね、逆境ひっくり返し系、ボロは着てても心は錦系。最高にカッケーと思ってる。
「頭を使った小さなおばあさん」とか
「シャエの王女」
もいいなあ。



だいたい最初から高貴生まれ・寝てるだけで白馬の王子様が来て結婚とかね。
もう今時誰も信じない。寝込みに不法侵入した見知らぬ変質者にチューされて
「まあ❤️」ってなるかフツー。犯罪じゃねえか。
かといって最近のディズニーは女がもう強くて見てられない。いやあお強い。男要らず。敵バンバン倒すわ大金稼ぐわ。でもなんかそれ肌に合わないの。昭和な私だから。
ふふん♪と歌を歌いながらお掃除してるシンデレラや白雪姫の愛らしさ。
マンガ「マーガレットとご主人の珍道中」で、楽しそうにパイを焼いてるマーガレット。
小公女だって、洗濯物を抱えてほかの弱い少女たちを助けて秘密の小さなパーティをするとかもう可愛すぎ。
もしかして、下剋上すら必要ないかも。
働きもんの優しい子が笑ってるだけで美しい一幅の絵のようではない?



たくましいシャイな男が、一人の女を好きになり、純に優しくしたくてそうする。
女らしく優しい女が、一人の男を好きになり、尽くしたくて精一杯そうする。
相手を「我がものにする」のではない。
違う。それは単なる所有欲。所有し「何々して欲しい」という欲望。
好きだからこそ「何かをしてあげたくなる」。自分のまごころを捧げたくなる欲求。くれくれ、なんでくれないのじゃない。あげたい。だって好きだから。でも、迷惑じゃないといいな…。それが多分ほんとうの恋。



目移りしちゃうこの世界で、ただ一人のその人ともし結婚できてたら。
それこそ夢と思う人。
結婚してからは釣った魚でなく別のことに向いていく人。
そして二人の永遠のおとぎ話を発見する人。
映画「スプラッシュ」で、いい加減でスケベな兄貴が、人魚と恋に落ちたことで悩む弟を叱り飛ばすシーンがある。
「お前ガキみたいに浮かれていたじゃないか❗️いいか、誰でもそんな経験が出来ると思ってるのか⁉️」



誰かと永遠の素敵な恋をする。現代じゃおとぎ話?コスパもタイパとやらも悪くて?
ああ嫌だ。野暮。無粋。ショートカットって意外と地獄への近道だったりもするからご用心ねー。



そんなおとぎ話の実話をたくさん知ってる。身の回りにいくらでもある。そして今は私もそれを生きている。そう望んだからそうなれた。金が無くても五十路でも、世界一幸せ。誰もうらやましくないわ。
夢に見たおとぎ話を現実に生きられてて最高。



誰でもそうなれるとは限らない。
可能性が高くなる方法はある。
「心を」磨き続け、ガツガツしないこと。



余裕ない人とはお話もできない。忙しい人とは。
素敵なおとぎ話みたいな恋は、雑談・四方山話から生まれるものだ。タイパ悪いわけよ、残念ながら。システムとは相性がよくなくてさ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?