見出し画像

立てば芍薬座れば牡丹

歩く姿は百合の花。
結婚前、T兄がふいに珍しく私を褒め殺そうとしたのか、不慣れなことわざを打ってきた。

「立てば石楠花座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
「T兄惜しい❗️石楠花(シャクナゲ)じゃなくて芍薬(シャクヤク)だった…」
「うるせえ❗️どっちにしろ俺はどれも見たことはない❗️」←えばっている。


というわけで久々な水宮です。
同時多発春模様、友人N子さんが私の誕生日に町田ボタン園に連れてってくださった。
せーの、どーん。

3枚目はオダマキである。ほかにも

紅白のケマン草、八重桜、むらさきと白の藤、スズラン、T兄が間違えた石楠花の大木もあった。


空気はたっぷり水分を含んだくだものジュースのように甘く、軽い。山と田畑地を切り開いた花園は急勾配ながら、絢爛たる花々を求めていくら逍遥してもまるで疲れない。


町田からバスで結構あるし、いまの時期はシルバーの方々を中心に混むが、行く価値はある。花の多い時期のみ、入場料500円が必要になる。


道を少し下ると薬師池があり、そこも歩いた。蓮🪷の新しい葉が芽生えていた。葉っぱピンクなんだね。
鋭い声をあげて、小さなカイツブリの夫婦鳥が池に遊んでいる。詳しくはわからないが、すっぽんらしき亀の影を見、私はすっげえ食べてみたくなった。小学生な味覚党のT兄に「食べてみたい」とねだったら、
「俺には罰ゲームだけど…いいよ、ねこ子が食べたいなら😔」だそうだ。秋なすとすっぽんは嫁に食わせてはいけないものなのだろうか。

帰りの山道で、ふしぎな草花を見つけた。

ウラシマソウ、もしくはムサシアブミ。地域的に言って後者だろう。


駅前の居酒屋でランチと酒3合(懐かしの黒龍があったのでつい)、ほろ酔いで青フラに寄り赤い薔薇を2本求め、帰った。


軽くなっている。
痛みも、悲しみも。
ああ、今後の誕生日やお祝いのプレゼントは、もらうのじゃないんだな。
いらないものを、取り払ってもらうのが、一番うれしいプレゼントになるんだな。
これからは。


51年前の4月、牡牛座になりかけの真夜中に生まれた。
まさかここまで生きられるとは思わなくて、嬉しくて、優しい顔の旦那さんの写真に、一晩中話しかけていたんだ。
あなたには何をあげよう?
多分、物ではもうないよ。楽しみにしていてね。


それまでの一日一日も、特別な日だよね。死が近づき、恐れも消えると、そう思う。あの夢のような牡丹の花弁や、藤のあまい香り、幽玄なムサシアブミの花、天人さながらの鶯の聲。


生きてこれてよかった。
ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?