キミはもう変なドラマ『警視庁アウトサイダー』を見たか
木曜21時から追放されて火曜21時に送られた『科捜研の女』が終わったのは昨年末の出来事でした。
「今回は違う」という触れ込みから始まった2022年の『科捜研の女』は、全話通して「いつもの展開」が最大限に効果が発揮されるように制作された……つまるところいつもどおりの「変なドラマ」だったわけですが、そんな『科捜研の女』を追放して発生した枠に1月から変なドラマがまた戻って参りました。
そう、『警視庁アウトサイダー』ですね!
主演は西島秀俊と濱田岳と上白石萌歌!
西島秀俊と濱田岳といえば『仮面ライダーBLACK SUN』での共演してましたが、そこに上白石萌歌を加えて生まれたものがこういう変なドラマだったのにはびっくりなんですが、こんな変なドラマを見てないのはもったいないんですよ!「今私たちは何を見せられてるんだ」で楽しめる作品なのに!
テンポよく小ボケを展開していく
『警視庁アウトサイダー』はとにかく小ボケが多すぎる。
「無数の小ボケの合間にシナリオが差し込まれている」と言っても過言ではないぐらい、小道具やキャラの掛け合いにボケを差し込んでくる。
ここまで多いと小ボケがノイズになってしまいシナリオに集中できないところなんですが、「作中でも突っ込まれるボケ」と「作中では一切突っ込まれないボケ」が存在して、それらを巧みに使い分けながらテンポよく小ボケを積み上げていくのでシナリオの邪魔に(あまり)なっていない。
むしろ小ボケをテンポよく見せるために、会話のリズムもしっかり作れているし、メインキャラクターを演じる西島秀俊(ボケ)と濱田岳(ぼやきツッコミ)と上白石萌歌(ボケ)の役割分担がはっきりしているので、見ていて
ストレスを感じる箇所が殆どない。
「何の話をしてるんだこれは」と思う箇所もあるにはあるんですが、大体誰かがまとめながら、強引に本筋に戻してくれる。結果、話が行方不明にはならない点もいい。
まあ上白石萌歌が西島秀俊と濱田岳でBL妄想しているシーンは「何の話?????」って思いましたけど、全体の中ではまともなシーンだったので許しましょう。
本人を使ってやるんじゃない
そういう脚本や台詞の面白さもあるんですが、「本人が登場しているからこそ面白くなってしまっている」みたいな直球の酷さもあるんですよね。
例えば一話アバンに登場したプロレスラーとか、わざわざ新日本プロレスの真壁刀義、棚橋弘至、田口隆祐、オカダ・カズチカを呼んできている。呼んできてやることが「レフェリーを人質に取られて慌てる」「西島秀俊のプロレス技のキレに感心したり悔しがる」「西島秀俊がマウントを取ったらレフェリーにカウントするよう求める」ですよ。
新日本プロレスのスターレスラーを四人も呼んで、本人役でやらせることがこれ!っていうのがもう面白すぎるんですよ。「何をやらせてるんだ、このドラマ!」と視聴者のツッコミを誘う事が目的なら目論見どおりで。
そういう本人が本人役をやる面白さをアバンで見せておいて、缶コーヒーのラベルで一発ネタを仕込んでくるのはずるいし、笑うしかなかった。
二話だと「沢口靖子」を連呼して「僕たちも木曜刑事ドラマですよね!?」というアピールに余念がないし、三話は予告で「必ずホシを上げる!」って叫んでるし、もうツッコミどころしかない。
変なドラマの帰還
私も変なドラマが好きな人間なので、ここ最近の『科捜研の女』も『捜査一課長』もしっかりとチェックしているんですけど、この二本の変な面白さってシチュエーションコントに近いものがあると思うんですよ。
例えば『科捜研の女』は、「事件の謎に挑む沢口靖子演じる榊マリコの破天荒さ加減」が面白いですし、『捜査一課長』は突拍子もない展開が作中人物にそのまま受け入れられていることそのものが面白い。
画面に表示されている映像や冷静に考えてみれば明らかに「変」で、その「変さ加減」をミステリー部分とともに楽しめるのが『科捜研の女』や『捜査一課長』の魅力の一つだと思うんですが、『警視庁アウトサイダー』は「漫才のようなやりとりが、シナリオ進行の最中も切れ目なく続けられている」という点がヘンテコで、滅茶苦茶面白い。
あまりにもボケが多いんで見ていて疲れるんですけど、西島秀俊と上白石萌歌がボケ倒した後に濱田岳がぼやきツッコミを入れて本筋に戻していくのは卓球の激しいラリーを見ているかのような面白さがある。
いや変なドラマなんですけどね! まあ『TRICK』や『99.9』の演出家だし当然か!
というわけで。
全国にどれだけいるか分からない変なドラマ好きは、今期は『警視庁アウトサイダー』を見て「変なドラマ」成分を接種しておくといいと思います。
TVerで一話と最新話は無料配信しているし、本放送もほぼリアルタイムで配信されるから実況向きですよ!
プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。