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『ウマ娘』新三大文学の話をしたい。(追記:2024/2/29)

『ウマ娘プリティーダービー』の面白さの一つに育成シナリオの面白さがあることはもはや言うまでもないことでしょう。
史実における競走馬達の伝説やエピソードを脚色して紡がれる「ウマ娘としての物語」。それらは時に胸を熱くさせ、時に愛おしさで胸を締めつけてくる。
そんな育成シナリオもウマ娘の魅力の一つなのですが、そんな育成シナリオの中でも「これはもう文学では?」と思えるような育成シナリオを持つウマ娘が何人か存在しております。
そんな文学のような育成シナリオを持つウマ娘について、過去に「ウマ娘三大文学」として紹介させてもらいました。

あれから一年が経過しましたが、実は前回記事以降には三大文学に匹敵するシナリオや「現在から振り返ると、あのシナリオって滅茶苦茶熱いことになってない?」と思えるウマ娘が次々と登場しておりまして、育成シナリオも含めてウマ娘は面白いぞ!と思ってる人間には大変喜ばしい状態となっております。
そこで今回は前回記事の執筆後に実装されたり、理解度が深まるほど面白くなった育成シナリオを持つウマ娘を「ウマ娘新三大文学」として紹介していきたいと思います。

「ウマ娘がある理由。」ネオユニヴァース

貴方が『ウマ娘』という作品に興味があるのなら、いつかは読んでほしい。
そう言わざるを得ないほど「絶対に読んでほしい」「マスターピース級の大傑作」と言える傑作文学。それがネオユニヴァースです。
ユニークな言葉遣いで表現される独特の世界観が印象的なウマ娘ですが、その育成シナリオは「『ウマ娘』という作品の世界観そのもの」に踏み込み、「なぜウマ娘はウマ娘なのか」という点を語り切っている。おまけに「この育成シナリオがネオユニヴァースでなければならない理由」も完璧。
競走馬ネオユニヴァースとその物語が蔑ろにされておらず、むしろ超重要な存在にまで昇華しており、出来については文句なしに「万人におすすめできる傑作」です。
正直このネオユニヴァースの育成シナリオの一点のみで「ウマ娘という作品が存在することの意味は十分にあった」と言わざるを得ないほどなので、まだ読んでない人はいつか読んでください。今じゃなくてもいいので。

「栄光と終わりの予感」メジロブライト

メジロブライトも文学性の高い育成シナリオの持ち主でした。
特に第二部が秀逸で、この第二部で描かれているのは「時代がスピードを重視し始め、スピードとスタミナの両立を目指すメジロのようなステイヤーは求められていく。そんな中で伝統と歴史を持つメジロ家は何を目指せばいいのか」ということ。
プレイヤーはそれをメジロブライトと共に示していくわけですが、この育成シナリオの根幹になっている「スピードが重視され、ステイヤーが求められなくなっていく」という時代の変遷は現実の競馬でも訪れており、長距離よりもマイル中距離が重視される流れが出来上がっていく。
こうした時代背景を踏まえたメジロブライトの物語は、グッドエンドでも「黒星が続く」ということが語られるほど「時代が変わった」ということを示しているのですが、「それにも関わらず、メジロブライト達は動じずに未来を見続けられるのはなぜか?」がこの物語の一番熱いところ。
メジロ家好きはもちろん「現実の時代の変化をウマ娘はどう扱ったか」が気になる人にはオススメですね。

「世界を切り開く愛」メジロラモーヌ

史上初の三冠牝馬となったメジロラモーヌも良き物語の持ち主でしたね。
ウマ娘で牝馬の物語といえば「アーモンドアイに至るまでの歴史」を描いたスイープトウショウが既に存在していますが、メジロラモーヌが描くのは「牝馬の未来」。
牝馬三冠は決して夢物語ではない。その栄光は実現可能な物語なんだ。
それを描けるのは史上初の三冠牝馬であるメジロラモーヌしかいないのでそれだけでも面白いのですが、一番面白いのはやはり「愛の物語」であるということ。
レースを愛し、レースに愛されるために走り続けたメジロラモーヌに感化され、多くのウマ娘たちが己の愛と向き合い、己の愛のために走ることを目指していく。
それは周囲を狂わせる魔性なんですけど、魔性を帯びるほどの愛で様々な壁や困難や常識を破壊していくメジロラモーヌは牝馬の未来を切り開く者としての貫禄もあって、非常に魅力的な主人公でしたね。
そしてそんなメジロラモーヌをこれから三冠牝馬を目指す者がどう見るのか。
昨年はドゥラメンテの娘であるリバティアイランドが史上七頭目の三冠牝馬となりましたし、その辺りも踏まえてみると「ここで最初の三冠牝馬が実装された事の意味」も汲み取れてより一層面白くなるんじゃないかなと思います。

「生きる」マーベラスサンデー

マーベラスサンデーも文学性という意味では屈指の出来の持ち主です。
彼女の物語で語られるテーマは「生きる」ということ。
一生懸命に走るからこそマーベラスになれる。そんなマーベラスの輪を広げ、世界中をマーベラスにしたいと願うマーベラスサンデーは、故障を含めた様々な困難にぶつかりながらもトレーナーと共に一生懸命に走り続けるのです。
そんな彼女に触発された他のウマ娘達も一生懸命に走ること、必死に今を全力で駆け抜けることに目覚めていくのですが、素晴らしいのは何と言っても最後を飾る有馬記念ですね。
皆の夢が集まるグランプリレースだからこそ、ウマ娘達も観客達も巻き込んでマーベラスサンデーが見せる「マーベラス」。それが生きる事の喜びと必死に生きる事の素晴らしさを観客たちに噛み締めさせるあの展開は、何回読んでも美しい。
リリース当初から存在しているのになかなか実装されなくて焦らされてきましたけど、この育成シナリオの出来なら全てを許せてしまう。それほどまでに傑作です、マーベラスサンデー。

自薦・他薦

自分では引いてないものだと、以下がよく上がりますね。

  • ケイエスミラクル

  • ナカヤマフェスタ

  • ゼンノロブロイ

  • ワンダーアキュート

  • スイープトウショウ(追加:2024/2/29)

ケイエスミラクルは「舞台を踏まえてブラッシュアップしたのでは?」「佐藤日向の演技に最適化された表現」という評価を聞きますね。地味に引いておきたかった。(追記:引きました読みました。下記が感想です)

ナカヤマフェスタは「凱旋門賞一本のみ」というストロングスタイル。今は凱旋門賞が実装されていますが、ナカヤマフェスタ登場時はまだ凱旋門賞実装の話すらなかった時期なので、それ一本で完成したシナリオが出てくるのは類まれな筆力を感じます。
ゼンノロブロイは登場時期やシンボリクリスエスの話題性に持っていかれたところはありますけど、「英雄」と呼ばれる存在になる物語として秀逸。
ワンダーアキュートは「トレーナーを和田竜二に見立てる」というトリッキーな発想を、変化球で終わらせていない点が面白いかなと。
個人的にも「皇帝でも生徒会長でもない。あのシンボリルドルフに挑む」を描いたシリウスシンボリあたりも好きですが、まあこの辺は好みということで。
☆2以下だとツインターボは読んでおきましょう。2022年天皇賞秋の話をしているので。

追記(2024/2/29):
スイープトウショウを忘れてましたね。
牝馬の歴史を描いているので、ラインクラフトやシーザリオから牝馬の方向性にも踏み込んでいく四年目だからこそ読んでおいた方が良いかも知れません。

結びに

以上を持って新三大文学の紹介を終えたいと思うのですが、これ以外にも面白い育成シナリオを持つウマ娘は多いので、新規で引く事があれば是非育成シナリオも読んでください。
なかなか実装されなくてネタ扱いされてたシンコウウインディも、「ネタウマ娘扱いされている中、本気で応援し続けてきた一人のファンが最後に報われる」という熱い展開があったりするので、本当に面白いんですよ! 
三週年を迎えるに当たって、おそらく☆3育成ウマ娘引換券も販売されると思いますし、この機会にシナリオ目当てで交換してみるのもありだと思います!

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。