【詩のようなもの6編】　うつらうつら

【うつらうつら】

ドクドク
血が鳴る

コツコツ
手が動く

スクスク
芽が伸びる

ドクドク
また血が鳴る

見える景色がうつらうつら

【春巡】

季節風が猛威を振るう

最近やけに乾く喉と瞳
薄氷を履むような不安が過ぎる

新しく買ったパーカー
まだふんわりしてシワひとつない
いつ着ようか楽しみのまま

唐突に来るスパムを削除して
食器と浴槽を洗って鏡拭いて
読みかけの雑誌を読み終える

窓を打ちつける雨音のようなものが
心臓の音とテレビの音を交ぜ
急に寒く感じる背筋

まだ気づきたくないことから逃げるように
見たくないワイドショーに齧り付く

そして妙にくっきり年末の空気を思い出し
夜が怖くなって布団3枚被って早めの就寝　

目が覚めたら新しい自分が否応なく巡ってきた

【チープ】

チープなものを嫌っているが
高尚な文化も始まりを辿れば皆々チープ

ポテチ食べながら見ていたアニメに
君の人生変えられているじゃないか

鼻で笑ってた他人の自由研究に
君の人生変えられているじゃないか

アナーキーなコミュニケーションが
新しい文化とよすがを生んだじゃないか

チープなものを嫌っているが
世界を変えるのはいつだってチープな自分達

【日と火と光】

始まりを祝い終わりを祈る
使い切った鉛筆が机から落ちる
その頃には美しいものばかり目に入る
歴史の日

壊れないように　燃やし続ける
乾かないように　潤し続ける
単純な循環の果てを探し続ける
命の火　

子供の頃から続く
身につけて手放す　常識と道徳

誰かに守られながら自分を壊したい
たいして意味のない出来心

埃被ったままの光が
桜のように降ってきたら
またここから旅が始まる

【change in】

時代の脈絡が枝分かれ
過去を知る者は生きづらい
だから出す答えだけは同じ

美しさ＝痛みを伴うもの
その図式はまだ期限付きで有効

踏襲して模倣
模倣して専攻

無知は身を滅ぼすが
考え過ぎで動けなくなるのもどうなのさ

言葉にした瞬間　喪われる
自分の中の信頼性

風見鶏の如く回り続ける
外の世界

手元で光る鉄屑
近しい君の顔だけ見える

時代の脈絡が枝分かれ
未来を描く者は生きづらい
だから出す答えだけは同じ

【Q & A】

辛苦に突き差す発想の転換
難渋に差し出すグリム童話

終わらないQ&A
ずっと抱き続けて
刻まれる5W1H
これからも慈しんで

くだらなくて無駄だらけに思える
脳内の雑木林掻き分けて
オリジナルブレンドを淹れよう

指鳴らして沸騰　シックスセンス
高揚を満たし注ぐ　パーソナルカラー

自分に合うものを惹き寄せたら
また立ち向かう　答えが無い問い

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最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮　青