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【詩のようなもの6編】 逍遥



【逍遥】

傷を撫でる術を知る為歩く
そう意気込んでいたのが少し前

みんなが賀する傍らで孤影悄然
震える手を隠すことに精一杯の今

「一緒に歩こう」
散歩に誘ってくれる人たちがいる
心から嬉しいのに…
自分を許す術が見つかるまで
昔年に目が向く

謹厳実直に…とはまだ出来ないけど
先ずは自分の心を繙く為に歩く

【背徳の初歩】

真冬に食べるアイス
美味しすぎる

真夜中のカップ焼きそば
マヨとソース割増しでgood

金がない時ほどのめり込むギャンブル
明日が真っ暗なのに脳が痺れる

昔隠していたお年玉
忘れた頃に見つけて財布が口を開ける

しょうもない背徳感を重ねるのが
今日を忘れる為の大事な時間だったりする

【零落とこころ】

塞ぎ込む 開き直る 日常茶飯事
ゲームチェンジ シフトチェンジ
昇り 降り 感情の出しどころ見失う

絶望の時代は続いているらしいが
では幸福の時代はあったのか?
誰に聞いても口籠る
猫は丸くなっている

黙過するつもりなどなかったのに
気づけばそうした事になっている
犬は吠えている

無に還る 愛が生まれる 幾星霜
パラダイムチェンジ エクスチェンジ
栄華 零落 心の置きどころ見失う

【惹起】

本末転倒 今日までの顛末
巡るほどに削ぎ落とされた情報
サジェストの仕方ばかり増えていく

予期しない蜂起 喧喧諤々
徒疎かに 飛ぶ鳥 地に落ちて
始まる未来 毎日の彩色 よりどりみどり

ビルの隙間漂うダンデライオン
死を遠くに置く詩を詠む

引き起こしたルサンチマン
明日こそ懇ろな仲であれたらと願う

引き金が増える一方で
自分の解像度が足らない状態は続き
誰が何を引き起こしても
上手く言語化出来ないことに慣れていく

【閑暇】

長い夜のような閑暇
相変わらずラジオに耳を寄せ
沈澱する気持ちを引き留め
薄暗い路地裏を抜け出す為
朝が来るまで端緒をついていく

開けたい扉が見つかれば
陽が射し込むはず

適切な選択が踊り狂い 
閑暇を吹き抜ける風

偏る食事に喉が通らないから
考えが青いと言われていた部分を
煮詰めるのに最適な閑暇を過ごし
逃げるように生きて得る罪悪感

要領よくこなす人に睨まれながら
何もない時間だけが明瞭に刻まれて
肥えた耳が言葉を探す閑暇

【ありあり】

ジャンプ!見えた向こう側
すぐ落ちて見えないのが現状

ありありと並ぶ不満と言い訳
脳内の引き出しはパンク寸前

メモ帳の落書きは今日に意味なさず
先々ふと行き詰まった瞬間に効果を発揮
書きながらありありと目に浮かぶ光景

どんどん「普通」が分からなくなって
ズレていく自分の解像度が明瞭

ジャンプ!流れた走馬灯
青春を濾すメランコリーがありありと…



最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青