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【詩のようなもの6編】 伸びる日足


【伸びる日足】

日足が伸びる
夏の匂いがし始める

煮え切らないままの気持ち抱えて
衰萎する春陽を渡っている

滅多にない悪運を重ね
意味のない占いに振り回される
リアリストは何処に向かうの

煙雨に当たりながら古いものは消え
抜いては挿し、挿しては抜き
街の景色は陰が新たに伸びていく

その傍ら緑は伸び伸びと繁々と
根まで雨を染み込ませ楽しみ
更に日足が伸びて夏の翳りが濃く広がっている

【虚空の風、黒曜の雨】

吹き荒ぶ虚空の風
降り頻る黒曜の雨
独り言は誰にも届かずに
お札は羽をつけて飛んでいく

心を表すには誰に祈ればいい?
今日を生きるには誰に頼ればいい?

乾いた冬を過ぎて
もう時間がない春を迎える
そこは誰のものになるんだろう

「春に浮かれ新しい環境で生きる普通の人々」
こんな言い方になるのは
そうなれなかった自分を苦しめる為
そして未だに憧れてしまう為
ずっとひねくれ精神でいるから
大きな穴に泥と水が溜まる
そのイメージがどんどん強固になる 
ジオラマのような街

独り言は誰にも届かずに
頼りどころを見失って
吹き荒ぶ虚空の風
降り頻る黒曜の雨

【呼んで読んで】

生まれる言葉
呼んで 読んで 詠んで
頭の中からこの世界へ

呪いにもなる 祝いにもなる
傷になるか御守りになるか
誰にも分からない一期一会

生まれた言葉
風になって 血になって 塵になって
僕から君へ 伝う灯火

【逃避エンジョイ】

懐かしい夢を繰り返し見る最近
子供の頃好きだったもの並べて
痛々しい高揚感と女々しい劣等感で
脳内がスパーク

猥談しかしない大人になりなくない
頑張ることを説く大人になりたくない
でもここは社会の枠外

「時間がない」そう言いながら追懐
辛い現実 出した答え せせら笑いに怯え

下駄箱の奥 埃被った宝箱の中から
あの頃から続く好きだったもの並べて
痛々しい高揚感と女々しい劣等感で
脳内がスパーク

米を研ぐように 鈴を鳴らすように
自分だけの世界の色をエンジョイ

【ワンダーワンダー】

目に見えない宇宙の中
僕は僕と交信中

愛を知るには窓を開いて
痛みを受け止めるところから

音の鳴らないピストルに合わせて
歩いたり走ったり時に休んだり

人いきれ 熱が生まれて繋がって
星が回り始め君の声で笑う

燦々 身につける頓知頓才
優しさを託せるまで太陽を浴びて
目に見えるその全てを誰かと分かち合える
確かなワンダーを胸の中へ

【乗り換えLIFE】

全て飲み込んで自分が泣いて済むなら…
そう思ってやり過ごしたけど最後まで続かず

癒しを求めて彷徨う日々の始まり
早く楽になりたい、忘れたい
願い続ける心臓の音

最後に辿り着いたのは
アイマスクしてヘッドホンつけて
懐かしい音楽に浸り続けること

誰の為に生きることを辞めたら
寂しいけど楽になってきて
乗り換え切符を手にしたら
誰にも気づかれないように
新しい選択肢に乗り込む