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【詩のようなもの6編】 旅人生



【旅人生】

自分の死期がハッキリすれば
使命と運命に従うようになるのか
時を大切にしようとするのか
他人に優しくなるのか

知る由のない幾千の物語
知りたかったとぼんやり思うも
昨日の夜見た夢の内容で
今日の行動原理は影響する
そんな人生

大体のこと 乗り越えたわけじゃない
目の前で何も出来ず時間が過ぎて
一歩踏み出し結末を得て
二足の草鞋を履き散歩道が変わる

思っていた以上に窮屈で偏屈な場所を
片足歩きしていたことに旅立った後に
気付かされてこうべを垂れる日常

自分を信じすぎるな
社会に馴染みすぎるな
いつだって真ん中を歩く為に
色んな所に足跡をつけていく

ある意味初めての旅立ち
楽観を持ち合わせる勇気が幸運を呼ぶ気がする

近づく黄昏時 懐かしい公園
見慣れた景色が新鮮に見え始める頃
ハッキリしないまま 知る由もないまま
そんな人生すら清々しい
旅の始まり

【マフラー巻いて】

マフラー巻いて遊びに行こう

夜の蝶纏い 冬の始まり
赤鼻を鳴らし悠々と
月明かりに照らされながら

マフラー巻いて遊びに行こう

春になっても使える
自分へのプレゼント買いに
ベルの音に似た胸の高鳴り感じながら

【crap crap】

熱を呼ぶように
声を消すように
先のない瞳を起こすように
手を叩く

あちらこちら迷いながら
羊飼いから逃げるように
手を叩く 手を叩く

爆発を起こすように
迷いを掻き消すように
暖簾の奥の孤独を繋ぐように
ドアを叩く

見慣れた景色の一幕
身に沁みる苦楽呟くように

そして最後は敬愛を捧ぐように
手を叩く 手を繋ぐ

【好きこそ】

純白の心を擦りおろし生まれた
黒いインクが星を生む

それは誰かにとっての憧れ
それは誰かとの架け橋

心がスパーク
色とりどりの一枚目

続けていた好きなこと
始まる物語

【ちょっと辛い日】

茶渋に合う今日の苦渋
直に味わったせいで落ち込んだけど
付箋で留めておく必要ない言葉の落書きだね
思い出の曲聴いてバイバイ

「見掛け倒しだね
第一印象と中身が合ってないよ」
昔そう言われたことが今更怒り心頭に発したけど
われを忘れるまで格ゲーに没頭

物語の主人公にはなれないし
誰かの中心にもならないよ
それをわざわざ指摘しなくていいよ

ちょっと辛い日 
温かい夜を過ごしておやすみ

【水を飲むように】

畑で会ったおばあちゃんが語る
「傷があるりんごの方が甘い」

川で会ったおじいちゃんが語る
「清濁関係なく前に泳ぐ魚は美しい」

その場面 その台詞
きっと必要になる日が来るから
心の奥底へ集荷

凝り固まる想像力の中に
そっと生ける花々
積み重ねよう 
水を飲むように



最後まで読んでくれてありがとうございました。。

水宮 青