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【詩のようなもの6編】 それはそれとして



【それはそれとして】

握手交わして悪手を重ねて
かく汗は冷や汗の連続
だけどそれはそれとして
今はそっとしておいて

どうしようもない捻くれ者の
最初で最後の足掻き
だけどそれはそれとして
ノートの端にそっと留める小さな落書き

直射日光はキツすぎるから
窓越しの光を浴びて
特別じゃないと言い聞かせて
天邪鬼な一挙手一投足は続く

【シュールレアリズム】

積み重ねられたコイン
鏡と鏡の狭間 破られた世界
黄色い星に向かう空中散歩
人のような煙に囲まれて
心に付けるシュールレアリズム

乾涸びた魚の目 砂漠に咲く花
背で笑う紳士 赤い札と白い影
これもまた日常の一幕

寂寥感 無力感
迷ったままの空洞を埋める
曖昧な現実と確かな夢

札束で積まれたビル群
海を泳ぐ怪鳥 森を食べる人の雨
機械仕掛けの流れ星が瞬く時の彼方
深層を叩くシュールレアリズム

【Zとr>g】

生活に変化が欲しいから
はじめましての回数を増やし
今日も背伸び

滞るインスピレーション
インスタは相変わらずキラキラ
Z世代 メディアに意趣返し
消費大国 観光大国 
名前を持たない者は疲弊中

世の中右から左
キラキラした世界
憎々しい世界
重なり覆水盆に返らず

時間を奪われ歪な成長
割に合わない結果論に飽きて
単純明解な世界を欲しても
富を持つ者だけ更に膨らんでいく

【これが最後】

「これが最後だよ」
それ何度目だろう?

これが最後…
これが最後…
意を決した筈なのに
マイナス思考がまた狂わす

誰も見てないよ
誰も知らないよ
人の目なんて気にする必要ない
…だからこれが最後

気づけばまた甘いお菓子は
口の中 胃の中に

今度こそ…そう誓って
マイナスから始まる健康への道

【ピタペタ】

机にピタっと張り付いて
ずっと迷いながら考え事

ペタっと貼った付箋メモ
きっとこの先使わないだろう
だけど先を向くには必要な通り道

ピタペタ ピタペタ
地に足つくように

ピタペタ ピタペタ
らしくない夢に沿うように

答え出す日はまだ遠くて
焦るだけ焦ったあとでピタリ
きっと自分に合う自分をペタリ

【凝る】

伸びた麺のような子供心
お金にならない未来に伸びる

外に出ていくだけの才能はない
シャーペンの芯を押し出すが如く
日毎 書き消されて落ちる

ゴミ箱の中を簡略化
サプリの量を調節
意味があるようでないような
不確かな未来に後ろから差す子供心

小銭かき集めて買った漫画
色指定に凝るところから作り始めた
世界に一つのプラモ

伸び切った爪のような子供心
ヤスリのように擦り減らされても
懐かしい遊び一つで生き返る


最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青