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【詩のようなもの6編】 楔歌

【楔歌】

楔歌
時に瞬く
恋の行方
理非を問わず
許しを請わず

楔歌
累日軋む
風の行方
情けを果たせず
灯を点せず

【傲慢と五万】

半端な親切心が生む傲慢
空虚な心付けの末に残金五万

何心地なのか迷走中
寝言を拾い集めては研究中

今日の生活
点数つけるなら五点

連日連夜スッキリ出来ず
時代を渡る通行料は値上がる一方
紙風船のような男心は浮遊

傲慢で半端な親切心は
茂みを掻き分けて
残金五万で心機一転
開き直ってまた明日

【解凍と忘却】

過ぎた自己批判の末に
子供の頃の約束が蘇り
振りかぶったまま
フリーズしていた影の形

窓の奥で伸びる陽の直線美
正しさを語る声の下
見たくない顔が笑う

劣等感を煮て屈辱を溶かせ
昔嫌だったこと一つずつ忘れて
まだ覚えている良いこと繋いで
大人になろうとする自分に
さよなら告げる回数は増えていく

【踊る猫】

踊る猫
口は達者
伴わない足跡
沈んで消える
誇りと夢

明日のこと
考えられない
遠い未来
別れに背を丸くして
気儘な猫に小判
今日を踊る

【カーテン裏の人形達】

揺らめくカーテンの裏
微笑みながら顔出す人形達
夜も朝も変わらず
こっちの感情に合わせて
変わらない景色でいる

陽に焼けた背中で
何かを語れたら良いけど
言わなきゃ伝わらない人の温かさに
どうしたらいいか分からないまま
時間だけが過ぎていく

膨らんだ見えない肩書き
誰のものでもないのに
誰もが背負わされて
様々なリズムを人形達は目で踊る

揺らめくカーテンの奥
にっこりしながら顔出す人形達
朝も夜も変わらず
こっちの感情に合わせて
少しずつ心が融けて固まる

【硬いハート】

イミテーションに溢れてる
情けに揺らいでいる
依存している硬いハート

路傍に転がっている諸々全て
興味津々だった
道行く人全て友達感覚だった
今は全て灰色 全て敵
偏った食生活の末
子供の無邪気さに憧れ始めている

今日なんとなく禁酒し
戻せないもの取り戻す為
禁欲して型を変え
柔で硬いハートへ


最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青