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てぃくる 855 一雫の蜜

蜜がなければ飢えてしまう

蜜が多ければ溺れてしまう

蜜はほんの一雫でいい

一雫でいいから蜜がほしい


 花が花粉媒介者の虫を呼び寄せる切り札にしているのは蜜です。
 蜜は量としてはごくわずかなんですが、そのわずかな蜜でも体の小さな虫にとっては十分な量のご飯。蜜を目当てに多くの虫が花を訪れます。

 画像のオキザリスの花にも蜜はあるはず。でも、花の奥でほんのり蜜色をしているのは蜜そのものではありません。それはわたしの目を潤わせる架空の蜜。心の蜜です。

 小さな花にもドラマがあります。そして、わたしたちもまた小さな花に過ぎません。それぞれに一雫の蜜を抱え、自分にはない一雫の蜜を求めて他の花を訪ねます。


野辺に咲く花々の名は問わず雪

(2021-12-01)


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