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てぃくる 449 引き潮

日差しと熱の裳裾を
波打ち際に寄せては返し

少しずつ少しずつ
夏の潮が引く

盛夏を燃え飾った花々は
どれも残り火となり

名残と記憶に
夏を封じ込めていく


 
どっさり咲いていた百日紅さるすべりも、花数がめっきり減りました。暑気を焚いていたような花の印象も、徐々に残火に置きかわります。

 引き潮。
 憶えていたいことも、忘れてしまいたいことも、何もかもを波打ち際に浮かべ。それらをゆらゆら揺らしながら、静かに夏が引き去ります。


夜も更けて鈴虫の和す恋愁ひ

(2018-08-25)

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