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てぃくる 760 りかばりー

 台風のあとで、ひどく枝折れしてしまった大木。
 整っていた豊かな枝はもぎ取られ、枝に着いていた葉も激減した。


 だが、その姿は日を追うごとに整っていく。
 新たな姿へ。新たな葉群を伴って。
 どれほど途上の姿が奇異であっても、それが新たな形なのだから。

☆ ☆

 いつも豊かな葉を茂らせている常緑樹の大木は、その葉が失われない限り変化がなかなかわかりません。

 昨年は幸い本土への上陸台風ゼロで、大きな台風被害が出ませんでしたが、その前の台風の大きな傷跡はまだしっかり残っています。神域を護るかのように堂々と樹冠を広げていたクスやカシの大木は台風被害で大枝がもぎ取られ、樹形がひどく崩れてしまいました。
 とても不恰好なんですが、ずっとそのままということでもないようです。よく見れば、枝が折れて不自然に空いていた隙間が徐々に葉群で埋められつつあるんです。壊れたところは光を得られる新天地。残された者はそのチャンスを見逃しません。あと数年もすれば、どこに台風被害があったのかわからないほど、新しい枝葉でみっちり埋め尽くされることでしょう。

 壊れた秩序は、新たな秩序で置換されます。そういう自然界のタフさを見習いたいなと思う、この頃です。

(2021-01-23)

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