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てぃくる

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長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。
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#地味

てぃくる 1011 もくもく

満開になったんだけど  これっぽっちも美しくない 満開になったんだけど  ちっとも褒めても…

水円 岳
2か月前
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てぃくる 993 全然似てない

「なあ。俺、すっごく悩んでるんだ」 「なにに?」 「俺、全然似てないんだよ」 「親に?」 …

水円 岳
5か月前
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てぃくる 932 夏バテ

「はあ……だめだ。暑過ぎてくらくらする」 「おまえ、顔色悪いぞ。藤なのに藤色してねえ!」 …

水円 岳
11か月前
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てぃくる 903 俺はぼけてない!

俺はぼけてないぞ!  わかってますよ。  あなた以外のものが全部ボケてるから、あなたまで…

水円 岳
1年前
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てぃくる 896 ワル

「俺たちのどこがワルだっていうんだ」 「色白だし、地味だし、ただぶら下がってるだけだし」 …

水円 岳
1年前
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てぃくる 861 威張りくさる

俺様のお通りだ! どきやがれ!  どえらく威張ってますが、こいつには足があっても動けませ…

水円 岳
1年前
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てぃくる 813 白い炎

赤々と燃え盛るから 炎であって 白い炎なんか あるわけがない 熱があるからこそ 炎であって 熱のない炎なんか あるわけがない 触れたものを焼き尽くすから 炎であって 触れられて壊れる炎なんか あるわけがない 揺らめいて形を変えるから 炎であって 同じ形のままの炎なんか あるわけがない そうして いくつもの「あるわけがない」が並べられたから 僕は 炎でそれらを滅した 白く 熱のない 柔らかい 変わらない 炎で 滅した  カレエダタケ  おもしろい形をした華奢なきのこ

てぃくる 796 あまり変わらない

「なあ」 「うん?」 「俺たち、まだ咲いてないから地味だよな」 「咲いても地味だよ。あまり…

水円 岳
2年前
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てぃくる 749 ドアチャイム

誰かが来たら 揺れて鳴るの ぽろんぽろんと  うーん、ドアに下げられていれば確かにドアチャ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 683 知ってるのに知らない

 ねえ、ぼくらのこと知ってる?  知ってるよね?  神社には欠かせない木だから知ってるよね…

水円 岳
2年前
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てぃくる 592 お地味

 形はおもしろいし、どっさり咲くんです。大きさも、肉眼視が難しいほど小さいわけではありま…

水円 岳
2年前
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てぃくる 539 さんざしの詩

「ああ、ほら。あそこに山査子の花が咲いてる」 「どこ? どこですか?」 「あの大きな楡の…

水円 岳
2年前
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てぃくる 534 困ったなあ

 ボクはシャリンバイ。車輪梅って書くの。  梅って付いてるけど、花はぼってりしてて繊細さ…

水円 岳
2年前

てぃくる 532 華やかなのに

 華やかに咲き揃っているのに   誰もわたしたちを見ないの  わたしたちが終わりになる頃に   華やかだねって褒めるのは  なんかおかしくない?  紅葉や果実の紅が鮮やかなコマユミ(ニシキギ)。  でも、それらが目立つようになるまではすごく地味な存在なんです。花もその例外ではありません。淡緑色の花がいっぱい咲いているんですが。変なおっさんであるわたしが覗き込んでる以外は、だあれも目を向けません。  もっとも彼らは、人間に見てもらったってちっともうれしくないでしょう。受粉