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てぃくる 896 ワル
「俺たちのどこがワルだっていうんだ」
「色白だし、地味だし、ただぶら下がってるだけだし」
「そりゃあ、世間様に自慢できるようなもんは何もないけどよ。ワルなんかじゃねえぞ」
「なあ」
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いや、あんたたち、猛毒だろ!
◇ ◇ ◇
シキミ
独特の香りを持ち、野生動物にも食べられにくいことから、獣避け、魔除けの木として古来から植栽されてきた常緑樹です。
花は地味ですが、花のあとに実る果実は中華料理の香辛料として用いられる八角(トウシキミの干した実)にそっくり。実際、誤用による中毒事故が起こっているようです。トウシキミの実には、シキミのような有毒成分が含まれていません。
シキミの語源には諸説あるようで、常緑で年中美しいから四季美というのが最上。毒がある実を悪しき実と評したというのが最低、ですね。他にもいろいろ俗名があり、わたしたちの生活に密着している木であることがわかります。仏事にもよく用いられますね。
シカの不嗜好植物なので、シカの被食圧が高いところではアセビ、シダ類などと並んでよく見られるようになります。シキミばかりが目につく状態は、決して好ましいことではありません。
まあ……ワルと呼ぶのはかわいそうかもしれませんが。
わたしも悪しき実説に一票。
朽ち果てし石仏喰らひ樒咲く
(2022-04-12)
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