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てぃくる

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長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。
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2023年5月の記事一覧

てぃくる 873 傘を巻く

「傘を巻くのはなぜかわかる?」 「なぜかっていうより、巻かないことなんかないと思うけど」 …

水円 岳
1年前
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てぃくる 872 老も若きも

人生には いろいろな時期があるわけです それぞれの時期に 特有の姿形があるわけです そして…

水円 岳
1年前
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てぃくる 871 べったり

「ペンキ垂らしてもた」 「絶対失敗するなとは言えへんけど、なんで俺のハゲ頭のてっぺんに落…

水円 岳
1年前
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てぃくる 870 風船の中身

風船の中には何が入ってる?  それが空気なら、風船そのものの重さは重力に勝てない。誰かが…

水円 岳
1年前
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てぃくる 869 置き土産

「何か欲しいて言ったの?」 「ううん、なにも欲しくなかったし」 「でも置いていったんだ」 …

水円 岳
1年前
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てぃくる 868 羽だけが舞う

解き放たれて 羽だけが舞う 羽ばたく者は そこにはいない ただ 羽だけが舞う  強い寒気が入…

水円 岳
1年前
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てぃくる 867 ひらひら

「ひらひらと生きたいな」 「いいね。軽やかで」 「でしょ? でもわたしがそう言ったら、みんなバカにするの」 「バカにする?」 「そう。軽佻浮薄だって」 「確かに、そう見えなくもないなあ」 「あんたまでっ!」 「足が地に着いてないから、そう言われるんだよ」 「むうう」 「俺らはちょうちょやとんぼじゃないんだから、現実から離れてひらひら生きることはできないさ」 「でもぉ」 「わかってる」  彼はポケットに突っ込んでいた右手を引き抜いて、寒風の中にひらっとかざした。 「いいん

てぃくる 866 涙の色

 希望という皮を被った絶望という獣がいる。  そう言って悔し涙を流していた女がいた。  …

水円 岳
1年前
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てぃくる 865 間に合ったのか、間に合わなかったのか

冬の女神は その白く冷たい手で 私を触った 私の体は すぐに生気と張りと色を 失った 失…

水円 岳
1年前
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てぃくる 864 もじゃもじゃ

「なんや、えらいもじゃもじゃしとるな」 「もじもじしとったら、そんな消極的なことじゃあか…

水円 岳
1年前
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てぃくる 863 軽くなる

荷物を下ろして 軽くなった 軽くなって すっきりした すっきりしたけど どこか気になる 下…

水円 岳
1年前
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