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てぃくる

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長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。
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2022年6月の記事一覧

てぃくる 779 こっそり?

「なあ。こんなにこっそり咲く意味あるのか?」 「いや、俺たちは全力で目立とうと思ってるん…

水円 岳
2年前
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てぃくる 778 一足お先に

一足お先にと 彼女が言った 彼女を追いかけようと 思ったけれど だめよと 言われたんだ …

水円 岳
2年前
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てぃくる 777 影が星になる

 桜が全て薄桃色ではないように  全ての花弁が桜を象るわけではない  大島桜の花の中に  …

水円 岳
2年前
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てぃくる 776 太陽を山分けする

春が来たら 太陽はどれだけ分捕ってもいいそうだ 春が来たから 太陽を山分けしよう できる…

水円 岳
2年前
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てぃくる 775 空中ブランコ

「何回練習してもうまくいかないなあ」 「どうしても、向こうのやつの手が取れないんだろ?」 …

水円 岳
2年前
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てぃくる 774 小さなタフガイ

なんだよ ガンつけやがって やるってのか?  喧嘩売られてもなあ。さすがに体格差ありすぎ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 773 花だけが咲く

 ぽつりぽつりと花だけが咲いているのを見て、寂しいなと思う。  そうしたら、どこからか苦々しげな口調の声がした。 「染井吉野も花が先だよ。寂しいかい?」  ああ、確かにそうだな。  だけどね。  君はあまりに小さく、それなのに赤い。  やっぱり寂しい。  寂しく見えるよ。 花暦弥生半ばに差し掛かる (2021-03-23)

てぃくる 772 まつ毛を盛る

「まつ毛ばしばしだね」 「がんばって盛ったんだけどさ」 「うん」 「顔があまりに小さ過ぎて…

水円 岳
2年前
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てぃくる 771 もけもけ

「もうそろそろセーター脱いだら? それ、モヘアでしょ。暑苦しい」 「脱げるわけないでしょ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 770 逆転

「見えているものが、みんな真実とは限らないよね」 「もちろんだよ」 「くっきり見えている…

水円 岳
2年前
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てぃくる 769 無駄

「ねえ、なんでこんなに無駄が多いわけ?」 「ビューティークイーンは一人でいいってことじゃ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 768 密

「密、だよな」 「ああ、間違いなく密だ」 「ヤバくないか?」 「しゃあないだろ。俺たちだっ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 767 青い瞳

今年もあちこちでオオイヌノフグリが咲き始めました。  実の形を犬の陰嚢に見立てた和名なん…

水円 岳
2年前
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てぃくる 766 梅見

「どこをどんなふうに見たって、梅見じゃないか」 「そりゃそうだけど、こんなどんより曇った日に見に来なくたっていいのに」 「曇った日なら、メジロは来ないっていうのかい」 「……いや、来る」 「はん。それならあたしが今日来たって構わないだろ」 「いいけど。なんで下ばかり見てるんだい」 「だから最初に言っただろ。どこをどんなふうに見たって、梅見なんだよ」 「水に写ってるのは梅の花そのものじゃなく、あやふやな影だろ」 「はん。実物だってあっという間に散っちまう。同じようなもん