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てぃくる 766 梅見
「どこをどんなふうに見たって、梅見じゃないか」
「そりゃそうだけど、こんなどんより曇った日に見に来なくたっていいのに」
「曇った日なら、メジロは来ないっていうのかい」
「……いや、来る」
「はん。それならあたしが今日来たって構わないだろ」
「いいけど。なんで下ばかり見てるんだい」
「だから最初に言っただろ。どこをどんなふうに見たって、梅見なんだよ」
「水に写ってるのは梅の花そのものじゃなく、あやふやな影だろ」
「はん。実物だってあっという間に散っちまう。同じようなもんだよ」
「それなのに、わざわざ見に来るんだ」
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「そりゃそうだよ。今見ないと、あたしが散っちまうからね」
梅の香や水面にしんと漂ひぬ
(2021-02-23)
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