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観察する目を育てる

 日々、子どもたちと関わっていると、ふとこれまでとは違う様子に気づいたり、育ちに触れたりすることがあると思います。子どもたちは、生きていいる一瞬々変化しており、受ける刺激によって様々な反応を見せてくれる、とても愛らしく、不思議な存在です。

そんな子どもたちの育ちをしっかり見ていくことこそが、「最善の利益」につながることであり、子どもの健やかな育ちを応援していくことと言い換えることができるでしょう。

では、子どもをしっかり見る、とは一体どうすることなのでしょうか。

ひとつの方法として「観察」があげられます。
「観察」とは、「対象の実態を知る為に注意深く見ること。その様子を見て、その変化を記録すること。どれだけその変化を見つけられるかが重要である。」とされています。
何らかの目的のために対象を見て、そこから何かを導き出す行動で、分析や解析などの基礎となります。

ここでいう「何か」とは、“子どもが育つヒント”あるいは“子どもが困っていることを軽減する為のヒント”と考えることが出来ます。そこから「何か」を導き出す役割の大半は六浦が負いますので、対象をじっくりしっかり見ることに専念してみてください。そして、気がついたことは、メモをするあるいは、他者に話して共感したり認識を深める、といった行動をとってみてください。それらがヒントを見つけるきっかけになります。

ただし、観察にはいくつか問題もあります。
観察という行為には、人間の「認識」というプロセスが含まれています。観察者が誰であろうが――科学者であろうが、専門家であろうが関係なく――認識は、心理あるいは脳神経的なプロセスであり、そこには以下のような2つの問題が必ず潜んでいます。(認識についてはややこしいので気にしないようにした方がよいと思います。)


① 先入観 ・・・・・・「この子は、こういう子」「この障がいは○○すればいい(効率的)」という思い込み

② 主観と客観・・・・“対象児は△△だと思う”のは主観的。主語が「私」の場合は主観となる。主語は必ず「対象児」とならなければならない。なので、“対象児が○○している”のは客観的。

この2つによって、または、観察者の存在によって(諸介助以外にも“そこにいる“ということ自体さえもが)、観察される対象の見せる姿が変化してしまうことは、当然のことです。できるかぎり、「先入観のない、客観的な観察」に近づけたいものです(これはとっても難しくて、なかなかできないので、私たちも日々努力しています。…が、難しいですね。出来てないことの方が多いです。…反省)。

しかしながら、「観察」を難しく考える必要はありません。無意識を意識に変えていく――つまり、子どもの行動を、不思議がってみる、面白がってみる、困ってみる、悩んでみる、つついて(悪戯して)みる――それだけでいいのだと思います。むしろ、それが大切!

 そして、それを自分の中でだけでなく、周りの誰かと話をしてみたり、話す時間がなければ付箋に書いてメモを残してみたりすればいいのです。それだけで、「観察の目」はどんどん育っていきます。

 観察の目が育つことで、子どもとのかかわりがもっともっと楽しいものになることは間違いありません。それに、いろんな発見を、きっと誰かに話しているので、一人ではなく、他の誰かも同じことを心のどこかで思ってくれている、という安心感もついてきます。不安なときは相談だってできます。

一度に多くを「観察」する必要はありません。まずは1つからしてみます。1人の子どもからしてみます。

「この子は、こういう子」という思いを持って見ると、うまく観察が進みません。子どもは会う度に、新しい存在になっているくらいの思いで向き合ってみて下さい。常に「新しい●●ちゃん」です。

記入の仕方は、“いつも○○をする”という記載の仕方ではなく、“×月×日 ○○をする。直前には△△をしていた。●●をしたら、□□となった。”のような書き方が出来れば100点満点の素晴らしい観察記録となります。
…とはいっても、急にそんな観察記録をする必要はありません。

ただ、大切なのは「事実を書くこと」です。「観察」によって得た情報の事実を課題記録ノートには記入してやってください。

事実のみを書くことは、非常に難しいと言われています。どうしてかというと、私たちは人間で、常に何かを考えている賢い生き物だからです。賢さゆえに、見たものを、自分の持つ「知識」において、頭の中で「解釈」して「納得」をします。

観察の中では、この賢さはちょっと隠しておいてみませんか。記録をするときだけでいいのです。誰かとおしゃべりするときは、賢さ満開で、どのように感じたのかなどを伝えてください。そうすることで、相手にも新たな視点や知識が与えられます。自分が逆の立場でも同じですよね。
記録ノート記入時は、「事実のみを書く」
これだけで、観察の目がぐんぐん育っていきます。

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