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森沢明夫『虹の岬の喫茶店』第五章『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』を読んで

いつ出来るかわからなかった浩司の店が完成し、後は喧嘩別れしたショーを含めての落成式のライブ演奏が出来れば、浩司の長年の夢が叶う。

若いからこその熱い感情のぶつけ合い、そして殴り合い。若いときはプライドの意味すらわからないくせに、意味のないプライドを守ることだけが、自分を保つモチベーションになる。

でも、そんなわだかまりも年を取ればいい思い出になる。だからこそ、浩司はどうしてもショーに参加してもらいたかった。

一方のショーも、今や社長になりながらも、「セブンシーズ」を忘れたことはなかっただろう。

ショーなしで終わったライブ演奏に未練を持っていた浩司だが、ショーからのメッセージを読んで、ショーもスケジュールが合えば参加する意志があったことを知る。

いつまでも青春を引きずるのは男の特徴のひとつなのかもしれないが、こんな青春ならば誰だって引きずりたくなるだろう。

最後に、サンキュー・フォー・ザ・ミュージック。サンキュー・フォー・ザ・ストーリー。

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