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案山子(詩)

冬の強い海風が
僕の体を吹き飛ばした
僕の体は駐車場を横切り、道路を越えて
叢の中に消えていった
置いてきぼりにされた僕の心は
宙ぶらりんのまま
砂嵐に飲み込まれる
海辺まで下りて
心のつま先を海水に浸してみる
氷のような冷たさに3メートル飛び上がる
心が冷たくなりすぎる前に
過去や未来を旅した
やがて行き場を失った僕の心は
僕の体を求めて海辺に戻った
海辺から駐車場へ
駐車場から道路を越えて
叢のさらに先まで
僕の体は田圃の中に立っていた
足はふくらはぎまで土に埋まっていた
僕の心は僕の体に帰ってきた
この島が僕の終の住み処

(伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』に思いを寄せて)

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