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冬の朝(詩)

窓から射しこむ太陽の光が
私の胸のあたりを照らしている
凍っていた体のその部分だけが熱を帯びる
私の体はその熱に向かって収斂されていく
まるで外で遊んでいた猫たちが
競って炬燵の中へ飛び込むように
私は胸の中から指を出して
テレビのリモコンをオンにする
胸の中から目の高さまで頭を出す
昨夜起きた殺人事件について
犯罪心理学者が犯人や動機について推測を述べている
私はテレビをオフにして風呂に入る
温かい湯船に胸だけが浮かんだ
やがて胸が温まるにつれ
胸から頭やお腹や手足が這い出てきた
元の形に戻った私は
暖かい服に身を包み
会社へ向かうために家のドアを開ける

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