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【詩】数え歌~これは哀れな戯れ歌なれば

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やっつ やがては花となる
ここのつ この身に足りぬもの
     

  ひとよ一生を一日と生きて
  ふたつの海の水を汲み
  みなもの月に問いかける

願うは悪か望むは罪か この身を焼くは天の火か
ひとよ一夜の夢に惑うて 涅槃の道のまだ遠く
   
  よみの旅路のその辻で
  いつか忘れた面影を
  むなしく追うてはまた惑う

ああ愚かしや 愚かしや 
夢もうつつも泡沫の せんなき因果の風車
愛憎会苦の牢獄に 囚われ踊る蝶々よ

 ななの賢しき人らとて
  やがて等しく塵となり
   ここのつこの世を惜しみつつ
     輪廻の海へ飲まれゆく

   とおの眠りのみなめざめ
  ただ我のみが我のみが
うつつの籠に囚われる

やっつ やがては花となる
 ここのつ この身に足りぬもの
とおく常世に離りし君のぬくもりひとつ声一つ
    
(笑え笑えよこれなるは
 ほとけの教えの未だに遠きあわれ凡愚の戯れ歌よ)

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