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トンニャン#16 悪魔皇太子妃コーラ

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「コーラの巻」のような意。話の位置は、前回の「クビドの巻」の続きです。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「素敵なソファー。トンニャン、早くここに来て座って!」
コーラが、リオールとクビドのいる球体の、隣の球体に移ると、大理石のテーブルにロココ調の豪華なソファーが目に入った。
「トンニャン、これって、アスタロトの・・・」
トンニャンは口に人差し指をあて、片目をつぶってアシュラに合図した。
アシュラは言いたそうな素振りを見せたが、黙って口を閉じた。

「なあ、ちょっとおかしくないか?」
「何が?」
アシュラの問いに、コーラとチェリーの練習したような同じ声が返ってきた。

今、アシュラは一人がけの椅子に座り、大理石のテーブルを挟んで、三人が座っているソファーと向かい合っている。
広いソファーの真ん中にトンニャンが座り、向かって左に悪魔皇太子妃コーラ、右には天使チェリーが座っている。
いや、正しくはトンニャンを真ん中にして、二人が両側から寄り添っている状態。
人間の言葉だとハーレム状態、またはホストクラブでトップホストに言い寄る女達の図、というところか。

悪魔皇太子妃 コーラ
魔女のひしめく天秤の中で、いつの間にか弾き飛ばされ、遊びまわっているうちに堕天使・夜の女王ブラックエンジェルと知り合い、魔界を暴れまわる。
その後再び魔女修行を再開するが、失敗ばかり。
一九七〇年代、天使チェリー・トンニャンと人間のハイスクール時代を三年間経験する。
その間、幼い時より憧れていたルシファーの想い人となるが、一年で破綻。
それは、ルシファーの長男、リオールが無理やりコーラを奪ったとされている。現在はそのリオールの妻。
しかし天秤に入る以前の出自は不明。リオール同様、この物語のオリジナルキャラクターである。

「コーラ、この間のキス事件で、懲りたんじゃないのか。
あの時、リオールを納得させるの、大変だったろう?」
「リオールは納得なんてしてないわ。彼の私に対する気持ちには感謝してる。
でも、重たい時もある。だって、私しか愛してない、私しか愛した事がないと言われても、私には過去があるでしょ。
暗に責められてる気がするの。それに、幼い時からルシファー様に憧れていたけど、その間に、誰にも心が動かなかったわけじゃないし・・・」
コーラは顔をずらして、トンニャンをチラリと盗み見た。

「アシュラ、キス事件て何?」
チェリーがトンニャンにもたれていた顔を起こした。
「いや・・・それは・・」
「トンニャンに再会した時、あまりに嬉しくて抱きついてキスしちゃったの」
「キスって、コーラが?本当なの?アシュラ。」
アシュラが気まずそうに頷く。

「ちょっと、トンニャン、これってどういう事?」
「チェリー、トンニャンを責めないで。私がそうしたくて、したんだから」
チェリーは納得いかないように、腕組みした。
「トンニャン、どうしてコーラなの?私は一度もキスしたことなんてないわよ」

「おい、おまえ達、夫のいる身だろう。言ってる事がおかしいぞ」
「アシュラは黙ってて。これは私達三人の問題なんだから」
トンニャンは体を起こすと、突然チェリーを引き寄せて口付けた。
チェリーは硬直状態になり、コーラは突然の事で怒りをすぐに表現できないでいる。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#16 悪魔皇太子妃コーラ


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#17へ続く
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