見出し画像

トンニャン#1大天使ミカエル(軍神マルス)

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ミカエルの巻」のような意味。話の位置は、アスタロト公爵の#5と#6の間のお話です。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「珍しいな、おまえが呼び出すなんて。何世紀ぶりだ?」
久しい友・トンニャンの問いに、ミカエルは黙ってうつむいていた。
トンニャンを呼び出したことが良かったのかどうか、そして今から話そうとしていることが、天帝に次ぐ四大天使として正しい行為なのか、ミカエルには迷いがあった。

「それにしても、ここはずいぶんと厳重にシールドを張っているな」
トンニャンは異次元の空間に浮かんだ球体の内部を、しげしげと見つめた。
「わたしがあなたと会う事を、良く思わない者もいるので。他の者には、聞かれたくないのです」

トンニャンは、ミカエルの用意してくれた雲で出来たソファーに腰を下ろすと、ミカエルにも座るよう促した。
ミカエルは、黙ってトンニャンの座っているソファーの真横にある、一人用の椅子に腰掛けた。


【大天使 ミカエル】
四大天使、ミカエル・ラファエル・ウリエル・ガブリエルの一人。天使長・セラフィム(熾天使)等呼び方は様々。かつて天帝に反逆し堕天使となったルシファーと双子であり、弟との説がある。また戦いの神であり、天帝の次の地位にあって天帝の軍の将であったのが暁の子ルシファーで、曙の子ミカエルは副将であったとも伝えられる。その為ローマ神話の軍神マルスと同一視され、ギリシャ神話ではアレスとなり、火星マーズが守護星となる。そして、愛と美の女神ウェヌス(アフロディーテ)との間には、二人の子として愛の天使クビド(エロス)がいる。兄と目される堕天使・暁の子ルシファーは、地に堕ちて大魔王ルシファーとして君臨した。


「何か、あったのか?」
ミカエルは答えない。答える勇気がない。
「呼び出しておいてだんまりはないだろう。会うのは久しぶりなんだぞ」
トンニャンは、ミカエルの様子を注意深く観察するように見つめていたが、やがてしびれを切らしたように立ち上がった。
「天帝が、何か言ってるのか?」
ミカエルは突然立ち上がった。
「いや・・・そうではなく・・」

「ミカエル。わたしは誰だ?」
「・・・トンニャン、です」
「だったら言うんだ。言いたい事があってわざわざこんな球体を作ったんだろう。
何の為にわたしを呼び出した?言わなければならない事があるはずだ!」

トンニャンを欺くのは無理だ。それに、何の理由もなくただ会いたかったなどと、そんな言い訳が通用する相手ではない。
「トンニャン、わたしは迷っているのです。あなたに言うべきかどうか。
でも、迷う事などあなたを呼び出す決心をした時から、許されなかったのですね」

「ハコブネ?方舟と言ったのか?」
トンニャンはとたんに険しい顔となり、そしてなす術がないように、またソファーに座り込んだ。
「天帝は今の人間の世を憂いてるのだな?」
ミカエルが黙って頷く。 

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#1大天使ミカエル(軍神マルス)


最新作 七作目 「炎の巫女/阿修羅王」
全国書店発売中!
Amazonほかで販売中!
(Amazonプレミアム会員の皆様、送料がついてるのもありますが、よくよく見れば、Amazon直で、送料無料があります!)

全国配本書店名はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556

20220112の3

#2へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n805f0fe0eb08

もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)