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トンニャン#2大天使ミカエル(軍神マルス)

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ミカエルの巻」のような意味。話の位置は、アスタロト公爵の#5と#6の間のお話です。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「そんなに救いは無いのか?人間はまた同じ失敗を繰り返しているかもしれない。
だが、だからといって、全ての人々がその命で償わなければならない程、人間は愚かだろうか?」
トンニャンは何を言っても答えないミカエルに、一方的に話している。

「前の方舟もそうだった。全ての人間を水に沈める必要があったのか。
ソドムとゴモラの町も、全てを焼け焦がすべきだったのか。まして、逃げる途中振り向いただけで、塩の柱になるなど・・・。
かつてルシファーが何故堕天使と呼ばれてまで、天帝を裏切ったか、本当はルシファーの気持ちを一番理解しているのは、ミカエル、おまえではないのか?」
ミカエルは、まだ答える事が出来ない。
特にルシファーについては、天上界でも、裏切り者としての烙印は重く苦しい物だ。まして、その兄弟となれば・・・。

「おい、リオール。隠れてないで、出てきたらどうだ?」
トンニャンの言葉に、驚いたのは当のリオールだけでなく、ミカエル自身も同様だった。
「見つかっちまったか?」
そこには、悪魔皇太子でありながら、父ルシファーと同様に、六枚の翼を持つ美しい悪魔、ルシファーの長男リオールが立っていた。

クビ・・・。」
ミカエルはそこまで言って、あわてて自分の口を両の手でふさいだ。
トンニャン、どういうことです、これは?」
「驚いたか。リオールに会うのは初めてだったな」
「それに、このシールドに入って来れる者など・・・。いや、まさか!」
リオールは二人の会話を聞いていたが、腕組みをしながら近づいてきた。

「ちょっとお二人さん、何わけのわからない事、話してるんだ?」
それからぐるりとミカエルの周りを歩くと、なめるようにその姿を眺めた。
「本当に父上にそっくりだな。父上と双子だというのは本当だったんだ」
「そういう言い方もあるが、正しくは『対(つい)の天使』。
暁・曙、両の天使ルシファーとミカエル』と、いうところかな」
トンニャン、やめて下さい。対の天使などと、昔の話です」
ミカエルは目を伏せて頭を抱え込み、雲の椅子に座り込んだ。

リオール、もう帰れ。そして、今聞いた事は他言無用。ルシファーにも言うな。もちろん、コーラにもな」
「誰に話すかなんて、俺の自由だと思うがな」
トンニャンが突然リオールの襟首を片手でつかみ、吊り上げるように引き寄せた。

「悪魔が永遠の命を持っているなどと、勘違いしない方がいい。
たかだか数十万の時を過ごしたくらいで。おまえを消滅させられるのは、ルシファー一人ではないのだぞ」
それから、つかんだ手を乱暴に離すと、リオールはその衝撃でトンニャンの足元に転がった。
「・・・わかった。誰にも言わない」
リオールは悔しそうに唇を噛むと、トンニャンから目をそらしながら立ち上がった。それから、くるりときびすを返し背中を見せると、球体の壁面にすうっと消えた。

「何故今まで気づかなかったのだろう。天上界から彼の姿を見た事はあったのに。クビドと彼は、言葉を交わしていないが、お互いの姿を見たことがあったはず。それなのに、何故気づかなかったのだ」
トンニャンは少し額にしわを寄せて、ミカエルを見つめた。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#2大天使ミカエル(軍神マルス)


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