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トンニャン#3大天使ミカエル(軍神マルス)

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ミカエルの巻」のような意味。話の位置は、アスタロト公爵の#5と#6の間のお話です。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

トンニャン、知っていたのですね?クビドとリオールの事を。
初めから、知っていたのですね?」
ミカエルは食いつくように、トンニャンに迫った。トンニャンは、ゆっくりとソファーに腰を下ろすと、ため息を一つついた。

「あれはリリスの腹を借りて、ルシファーが一人で生ませた子だ」
「やはり・・」

ルシファーは最初の子は悪魔の血が入らない、純血の子を望んだのだ。
いずれ自分の跡を取る、自分にもしもの事があった時も、魔界を統治出来る力と知恵のある子が欲しかったのだ。
もちろん、この事は、母親のリリスも、当のリオールも知らない。
あの六枚の翼も、悪魔達には見えないように、ルシファーが細工してある。だから、誰にもあの翼は見えなかったし、クビドとリオールが会っても、まわりの者はもちろん、本人同士すら、自分達が瓜二つだとは気づかなかった」

リオールは悪魔として育ちながら、間違いなく純血の天使なのですね?
我が子クビドとは、対の天使だと・・・」
「そう、おまえとルシファーのようにね」
「何故、ルシファーはこんな事を。対の者同士が、争わねばならない時が来るかもしれないのに」
しばらく沈黙が続いた。二人とも次の言葉を探しながら、その言葉を見つけられないでいた。

ふとミカエルが顔を上げ、リオールの消えていった壁面に目を移した。
「だから彼は、このシールドに侵入出来たのか。天帝すらも覗けぬほどに、硬くシールドを張っていたのに」
ミカエル・・・」
「このシールドを覗いたり侵入したりできるのは、同じ波動を持った数少ない対の天使だけ。
ルシファー我が子クビド、そしてクビドと対の天使リオール

リオールの妻は、魔女コーラでしたね?まさかコーラも?」
「いや、コーラの出自については解らない事が多い。
本人の最初の記憶は、たくさんの魔女達の中でひしめいていた幼い自分が、その中から弾き飛ばされて、好き勝手遊び回っていた事らしいぞ」

「その後連れ戻される度に飛び出し、ありとあらゆる命令違反を繰り返したと聞いています。
ブラックエンジェルと組んで魔界を暴れまわったとも・・・」
「そう、チェリーと会う前の事だ。
ルシファーブラックエンジェルをはじめとして魔界には意外と堕天使が多い。可能性は否定出来ない」


二十世紀後半、天使チェリーは人間界で約三年間ハイスクールに通い、人間の事を学んだ。
現在クビドの妻であるチェリーは、この時クビドと婚約していた。
その学園生活で、魔女コーラ、そして少女であるトンニャンと知り合った。

コーラは魔界を飛び出したり、逃げ出したり、様々な理由でチェリーの元に居候していた。
二年目、幼い時より憧れていたルシファーに望まれ、ルシファーの別宅に住む事になるが、やはり魔界にいづらくなり、また人間界にやってくる。そして三年目、ルシファーの息子リオールが現れる。

「母上や弟妹達、魔界全ての者が大魔王ルシファーの軽率な行動に腹を立て、コーラを憎んでいても、おまえは父上の元にいられるのか。
おまえは魔女だ。魔界以外では生きられないだろう。
魔界で生き残る為に俺の元に来い。
おまえが幼い時より見てきた。ずっと愛しいと思ってきた。
父上を忘れろとは言わない。その全てを俺に託せ。
そうすれば、誰にも何も言わせない」

コーラはルシファーの魔界での立場を考え、愛するが故にリオールの元へ行く決心をした。後の、悪魔皇太子妃コーラの誕生だった。

続く

ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#3大天使ミカエル(軍神マルス)


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