トンニャン#18 悪魔皇太子妃コーラ
※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「コーラの巻」のような意。話の位置は前回の「クビドの巻」の続きです。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「さっきの倒錯の世界は、俺が言い過ぎたよ。
愛に形はないし、差別もない。
それに、コーラの言ったとおり俺も同じだ。・・・ごめん、悪かった」
「じゃあ、またキスしても怒らない?」
「コーラ、もうやめなさい。
大丈夫よ、アシュラ。コーラが、夜アシュラのいない時に、トンニャンのベッドに忍び込んだりしないように、よく言っておくから」
「え?だめなの?狙ってたのに!」
コーラが、指を鳴らしながら舌打ちしたのには、さすがのアシュラも呆れてしまった。
「そろそろ、戻ってもいいんじゃないか?」
「いや、今はまずい」
今まで黙って話を聞いていたトンニャンが、アシュラの言葉に反応した。
「うん、私も、早いと思う。ねえ、チェリーはどう思う?」
「そうね・・・もうちょっと、かな?よくわからないけど。
コーラとトンニャンに賛成」
「何言ってんだよ?三人とも」
コーラとチェリーは同様の笑みを浮かべた。
「あの二人の様子、見たでしょ?ただ翼がはえて天使の姿になっただけなのに、今まであんなに似ているとは思わなかった。
チェリー、自分の夫があんなに美しかったって、気づいてた?」
「クビドはもともと美しい天使よ。
でも、二人を並べた時、あまりの美しさに、鳥肌が立ったわ」
「同じよ。リオールも美しい悪魔だった。
でも、天使のリオールは、いや、世界中であの二人以上に美しい者なんて、いないんじゃないかと思ったわ」
「だから?」
コーラとチェリーが同時に声を上げた。
「鈍感!!」
「え?まさか?」
今度はコーラとチェリーが呆れる番だった。
「二人のお互いを見つめる目、普通じゃなかったわよ。
あぁゆうの、人間の言葉で人目惚れっていうんじゃないの。
リオールは、今まで私しかいなかった。そう思うと複雑だけど、仕方ないと思えたの」
「私もコーラと同じよ。
クビドは人間のプシュケーを愛してたの。私が生まれる前に亡くなってるけど。
そのクビドの心の奥は、たぶんリオールでいっぱいだわ」
アシュラはコーラとチェリーを交互に見ていたが、首をかしげながら、グリーンティーに手を伸ばした。
「俺達って、信じられないくらい物分りがいいよな」
「そうね、コーラとアシュラと三人で同盟でも組む?」
そこで三人は、初めて笑った。
「コーラ、聞きたい事があるんだ」
「なあに、トンニャン?」
トンニャンはコーラの出自について、最初の記憶をもう一度聞いた。
「赤ちゃん魔女が一杯いた天秤の中よ。その前はわからない」
悪魔の出自にはいろいろある。堕天使もいれば、初めから悪魔として生まれた者、それも誰からか生まれた者もいれば、沸いて出た者すらいる。
だが、たいていは自分の出自を明確に覚えている。
続く
ありがとうございましたm(__)m
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